「好き」は言葉で【１】 (ページ26)

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伝えたかったことページ26

2 side

しばらくその場で、俯いたまま少しずつこっちに向かってくる彼女を待った。

そのとき、不意に顔を上げた彼女の目が合ったと思うと、くるりと回って走り出した。

2「ちょ、おい！」

とはいえ、酔ってる彼女のスピードに俺が追いつかないわけもなくて、手首を掴んで引き止めた。

2「何で逃げんだよ。」

あ「い、やっ、、、」

それでもまた俺の手を振りほどいて逃げようとする彼女に胸が締め付けられる。

また追いかけて今度こそ離れないように力を入れる。

2「頼むから、話聞いて。」

絞り出すような声に俺の弱さと、彼女を求めてる自分を思い知った。

やっと動きが止まり、振り返ったその目はあの日以上に赤くなっていた。

2「家、行っていい？」

さっきとは反対に、自分でも鳥肌が立つほど優しい声。

あ「、、はい。」

・

・

彼女をなんとか車に乗せ、しばらくして家に着いた。

あ「さっきはすみませんでした。」

水を飲んで落ち着いたらしい。申し訳なさそうに頭を下げる。

2「いや、俺も、ごめん。」

2「あ、これ。」

俺の差し出した携帯に目を見開き、え？あれ？と自分のバッグを確認してる。

2「お前に電話かけたら友達が出て、預かってきた。」

あ「全然気づかなかった、、ありがとうございます。」

あ「あ、もしかしてこれのために来てくれたんですか？だとしたら、ごめんなさい！わざわざ、、

2「違う！」

2「話があって、、」

続きを待つ彼女の視線が痛いほど伝わる。

2「好っ、、

あ「それは！、、それは、あまり良くない話ですか？やっぱりちょっと、調子乗りすぎちゃいましたかね、、」

2「え？」

俺の言葉遮るように話し出した。

あ「私も最近考えてたんです、、ただの1ファンが何をしてるんだろうって、、」

あ「クリスマスの時だって、私は楽しかったけど、もしあれが人に見られらと思う、、と、、こわくて、、、」

2「ちょ、」

あ「だからやっぱり、友達なんていうのは無理だなあって思ってたっ、、

2「好き。」

あ「、、え？」

耐えられなかった。目の前で悲しそうに笑ってるのも、どんどん俺との距離を置こうとしてるのも。

2「お前が好き。」

2回目のそれはちゃんと届いたみたいで、

顔が赤くなるのと同時に涙が溜まっていくのが分かる。

あ「だからそれは、、

2「マジックじゃない。もうそんなんじゃ誤魔化せない。」

2「お前のことが本当に好きだって気づいたんだ。」