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異能は月下獣         6 ページ25

大量の殺気と、敵意を芥川さんに向けられている。


でも、それに怯える事は無い。



だってわかっているから。


どうしてそんな事を云うのか、何を思っているのか。


全部知っているから、怯える必要なんてない事も判ってる。



チャキ、という音が聞こえた。


視線を其方に向ければ、鏡花ちゃんが拳銃を構えているのが見える。



ダメだよ、鏡花ちゃん。


そんなもので彼を止めることは出来ない。




「武器庫から持出したか」




怯むことなく、芥川さんがそう言った。



彼もわかっているのだろう。


彼女の攻撃で、自分が死ぬことはない、ということが。



それに芥川さんは、基本的に弱さを人に見せない。


意地っ張り、頑固、そういう言葉が合いそうな人だから。




「彼女を逃して」




静かな、落ち着いた声。


鏡花ちゃんは、芥川さんに怯えることなくそう発言した。



自分を操っていた人だというのに。


異能力が使えない状態だというのに。

……私を助ける為に、頑張ってくれている。




「外の世界に触れて心が動いたか?」




ザ、と音がしたかと思うと、一瞬で拳銃が真っ二つになった。


羅生門によって斬られてしまったのだ。



鳩尾から足を退けると、芥川さんが鏡花ちゃんの元へ歩いて行く。




「……ッ!」




ガッと勢いよく鏡花ちゃんの首を絞める。



……場違いかもしれないが、凄く感動してしまった。


何故なら首を絞めている腕一本だけで、鏡花ちゃんを持ち上げているから。



何処にそんな力があるのか聞きたい。


あんなに細くて華奢な体つきをしているのに。




「『“どん底”』を知っているか?」


「かは……っ」




今すぐに止めに行きたい。


そう頭では思っていても、体が言う事を聞いてくれないのだからイライラする。



こういう時に、つくづく自分が無力だと実感するのだ。




「其処は光の差さぬ無限の深淵だ。有るのは汚泥、腐臭、自己憐憫」




聞くだけで、気分が悪くなる。


多分それは、頭で状況を想像してしまっているからだろう。

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ウミソラ(プロフ) - とても面白かったです!!続き楽しみに待ってます!!! (2018年10月22日 18時) (レス) id: f06a1e9de4 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^読んでいて、楽しかったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月13日 22時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
大吉 - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2017年11月2日 14時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
ユリオLOVE - 中島ちゃんに鏡花ちゃんマジかわゆすこの小説大好きなので最新楽しみにしてます! (2017年8月26日 8時) (レス) id: b580a56628 (このIDを非表示/違反報告)
瑞祥(プロフ) - シュガーさん» コメントありがとう御座います!そう言っていただけると嬉しいです! (2017年7月30日 13時) (レス) id: 099595ab61 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑞祥 | 作成日時:2017年7月1日 9時

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