▼（大） ページ29
大倉side
父親の事が許せなかった。
あんなに母に思われていたくせに、母が死ねばアッサリと彼女のことを切り捨てて仕事をするあいつが。
彼女がいなくなった途端に、俺から自由を奪ったあいつが。
母親の死の原因も、もしかしたらあいつなのでは…？
理由のわからない不安からか、そんなことまで思うようになった。
(きっとそうや。あいつに耐えきれんくなってオカンは死んだんや。)
「旦那様も可哀想ですよね。恋愛結婚というだけで親戚中から煙たがられていたというのに…その奥様が亡くなってしまって。」
何を思ったのか、経営学を教えに来ていた家庭教師が俺に言った。
まさか、母の死を汚点と思って
俺で人生やり直しをしようとしてるんじゃ…
俺は絶対に、あいつの思い通りには生きない。
「あいつの決めた道は歩まない。」
その日俺は家庭教師を解雇し、家政婦に自分の世話は要らないと伝えた。
自分の食事を自分で作り、掃除も何もかも、家のことは自分でやった。
高校は父に指定された名門校を蹴り、通信に通う事にした。
平日は夕方出かけて夜まで授業があるという点が、朝早く出かけて夕方に帰って来る父のサイクルとうまくズレていて気に入っていた。
父が家にいる時間は登校日じゃなくても適当に外に出て時間を潰した。
テストとレポートで点数を取れば単位がもらえるため、登校日は適当にサボりつつ気が向けば授業にも出た。
適当に生きる。
あいつの思い通りにならなければ、もう何でもいい。
最早意地の域であることは自分でも気づいている。
しかし、そうでもしないとこの煮えたぎる父への想いは自らの身を焼き破壊してしまう気さえしていたのだ。
それなのに、
あの日、自分で壊してしまったビデオテープに映る幸せそうな若き父親が、
自分と同じ、運命という呪縛を受けていたであろう父親が
母が惚れたという父親が、
何を思ってあんな顔をしていたのかが
ずっと、気になってしまっているのだ。
"私はこの時のオトンに惚れたんやで"
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てん(プロフ) - のさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！完結まで、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2018年2月23日 14時) (
レス) id: 8ddec21add (このIDを非表示/違反報告)
の - 面白い！！もっと多くの目に止まって欲しい作品です！ (2018年2月23日 7時) (レス) id: bc6e72f589 (このIDを非表示/違反報告)
てん(プロフ) - 黒雪アリスさん» ありがとうございます！更新頑張ります(*´ω｀*) (2018年2月18日 1時) (レス) id: 8ddec21add (このIDを非表示/違反報告)
黒雪アリス(プロフ) - 設定ですごく面白そうだなと思っています、更新頑張って下さい(o^−^o) (2018年2月18日 1時) (レス) id: 38a8dac152 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てん | 作成日時：2018年2月18日 1時
