▼（渋） ページ23
渋谷side
「じゃあ、もう半分の皆さん立って下さい^^」
暫くして、講師の声が聞こえた。
ガタリ椅子を引いてと立ち上がる。
立ちくらみの時に似た、グラつく違和感が俺を襲う。
正直、よこと村上の話は自分のうるさい鼓動の音で聞こえなかった。
何度もつばを飲み込んで、チカチカする目をぎゅっと瞑った。
何とか立っていられるのは、プライドと気力のおかげ。
(大丈夫、大丈夫……)
自分に言い聞かせる。
こんだけ人数が居るのだから。
自分にだけ視線が集まることなんて無いはず。
(…よし！もうヤケクソや！！目瞑って思いっきり歌って即帰ろ！！)
伴奏の音が聞こえる。
隣の２人が息を吸うのに合わせて俺も深く吸い込んだ。
目を閉じて、ただ歌と向き合う。
「〜〜♪」
「…………………」
ワンフレーズ歌った所で伴奏が止まった。
また誰か口パクしたんか？と思って講師の言葉と伴奏再開を待っていたが、長い沈黙が続いたため思わず目を開けた。
「……っ！？」
ヒュッと喉が鳴る。
クラス中の全員の目が、こちらを向いていた。
(……あ、あかん)
握った掌から汗がポタリと落ちた。
俺は金縛りにあったように動けなくなる。
何で皆んなこっち見てんねん。
何もおかしな事しとらんやろ。
何で……
なんで…………
もう大分古くなった記憶が
鮮明に蘇ってくる。
スポットライト
ライブ会場
新聞記事
恐怖と好奇に塗れた目
信頼していた、観客の…
直立不動の……
「あ、」
ダメだ。ここにいては。
ダメ。死んでしまう。
俺は鞄を持って焦って教室を出た。
「すばる！！」
よこの声が聞こえる。
よこは友達なのに、信頼できるやつなのに。その声すらも自分を咎めているように聞こえてしまい、自己嫌悪から頭がガンガンした。
呼吸が早くなってくる。
走っているせいか、この胸の動悸のせいなのか。
とにかく何もかもが苦しくて、
それなのに俺は
走る足を止められなかった。
ーーーーーーーーー『渋谷くんってさ、傷害事件で謹慎食らってた人でしょ？どんな感じで歌うのかな？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てん(プロフ) - のさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！完結まで、これからもよろしくお願いします(*´ω`*) (2018年2月23日 14時) (
レス) id: 8ddec21add (このIDを非表示/違反報告)
の - 面白い！！もっと多くの目に止まって欲しい作品です！ (2018年2月23日 7時) (レス) id: bc6e72f589 (このIDを非表示/違反報告)
てん(プロフ) - 黒雪アリスさん» ありがとうございます！更新頑張ります(*´ω｀*) (2018年2月18日 1時) (レス) id: 8ddec21add (このIDを非表示/違反報告)
黒雪アリス(プロフ) - 設定ですごく面白そうだなと思っています、更新頑張って下さい(o^−^o) (2018年2月18日 1時) (レス) id: 38a8dac152 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：てん | 作成日時：2018年2月18日 1時
