ひか兄と二人っきりの夜 ページ5
私は誰が好きなんだろう……。
最近、そればっかり考えてる。
初日は皆で焼肉パーティーして、ゲームして雑魚寝して。
2日目からはマンションにいた時と何も変わらない日常が始まった。
けれど、1LDKのこのマンションではほとんど個人のスペースはなくって、何かドキドキするようなことも無く、ただいつも通りにモデルの仕事をこなしつつ、琉生兄と仕事場でお喋りして、帰ってきたらみんなと話して笑って寝て……何にも変わってない気がするんだ。
ひか兄はホントにホントに大好きだし、
つば兄はいつも甘やかしてくれるし、
あず兄は仕事に悩んだりしても勇気をくれるし、
なつ兄は何かと相談に乗ってくれるし、
琉生兄は癒しをくれるしで、みんないい所あって一人に絞りきれないんだよね……。
はぁあ、ほんとに私は誰が好きなんだろう……。
なんてことを私が考えている間に数名が事に及ぼうとしていることには気づいていなかった。
「ねぇ、アンタ。俺が男だって忘れてない？」
帰宅してすぐにリビングのラグに押し倒された。
耳朶を甘噛みしながら囁きかける兄のお陰で、耳から首筋、背筋、そして片手を添えられてる腰元までに一気に電気が走ったような衝撃を感じた。
唐突に感じる体温上昇と何かしらの欲求が疼いて一瞬の内に何も考えられなくなる。
「そんな物欲しそうな顔しちゃって。続きして欲しいの？」
いつも通りの意地悪な声でサラりと私のファーストキスを奪う。
「……ねぇ、今夜、俺と二人っきりになるって知ってた？」
あっ……そうだ、確か今日急に琉生兄に仕事が入ったから、ひか兄と二人に……え、ひか兄と？？
「ふふっだから、アンタのお望み通りにしてやるよ？」
瞼や頬、私の左手の薬指なんかに小鳥が啄むようなキスをしていく。
「ほら、どうして欲しいか言ってご覧？ 俺が叶えてやるから」
「とりあえず、両手の拘束を解いて貰えないかな？」
「あら、だってこうしなきゃアンタ顔隠すでしょ？」
図星。
「ふふっ顔真っ赤にしちゃって、かーわいい♡」
ねぇ、どうしたいの？なんて聞かれても困る……。
確かに明日はオフで何も無い日だし、ひか兄の挑発に乗ってもいいと思う、けど……なんとなく、今やってはいけないような気がする。
じゃあいつならいいのかって言われたら答えられないんだけど……。
「まだ処女でいたいんですけど……？」
「ははっりょーかい。……うんと、かわいい女にしてやるから、覚悟しとけよ？」
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作者名：朝日奈友月@椿光弥愛してる | 作成日時：2019年2月13日 23時
