マイペース ページ4
そんな時、目の前の扉がガチャリと音を立てて開いた。
「はぁ。騒がしいと思ったら……そんなとこで立ち話してないで早く入って来なさいよ。」
「! ひか兄! 先に来てたの?」
ひか兄は事情があって女装もよくしているけど今日は男の格好だった。
「なんでひか兄には自分から抱きついてんだよAー! お兄ちゃん悲しいぞー! 泣くぞー!」
「「うるさい」」
久しぶりに会えてこっちが泣きそうなのに……。
「しかもハモった!? もーそーゆーのも俺と梓だけの特権なのに!!」
「はぁ」
あず兄までため息ついてるし……。
ぐぅ〜
「お腹、空いた……。」
琉生兄……()
「そうだな。まず飯にしよう。A、何が食いたい?」
「俺肉!」
「お前には聞いてないんだよ! Aに聞いたの分かるだろ!?」
「うーん、なつ兄が作ったものならなんでもいい」
「!?」
「もぉーー!棗とばっかイー雰囲気になんなよな!!」
「えぇだってつば兄、料理できないでしょ?」
「Aのことだったらいつでも……((ガコッ」
「はぁ。ごめんね、A」
つば兄が調子に乗り始めた時あず兄は容赦無くつば兄の頭に拳骨を落とした。あまりにえげつない音がしたしつば兄も暫くは起き上がれなさそうだ。こんな家の前で大人数で一人はうずくまって呻いててなんけ誤解されそうなんだけど……。
「……ねぇ私なんか誤解されたりしたら嫌だからひか兄と先に中で待ってるね。琉生兄も来て」
「うん」
そうして2人が仲間で入っていくと光が3つ子に囁いた。
「そんなことしてる内に俺がとっても文句は言えないな」
その言葉にハッとするように椿と棗が光を見る。
「言われたろ?母さんに――6人の中で決定打を与えろってさ。アイツが無理矢理テキトーに決めた相手なんかでなくてアイツが決められないなら決め手を与えてやればいい。いつまでもグダグダやってんじゃねーよ」
椿と棗はだまりこんでしまった。
「僕は椿のストッパー役だよ。皆が皆Aの気持ちに積極的なわけじゃないから。分かっておいて」
「ふーん、梓はそうなんだ? じゃあ椿に着いてきたことでAを無駄に期待させて悲しませるのも平気なくらい何とも思ってないってことね?」
梓の意見に対して意地悪そうにわざと女口調で返すと梓も言葉を詰まらせた。
「俺が買い出しに行ってくるからその間、アイツの様子見といてくれ」
そんな空気も一切読まず日常的な発言をした棗に誰からともなく溜息が漏れた。
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作者名:朝日奈友月@椿光弥愛してる | 作成日時:2019年2月13日 23時