04.懐かしむ izw ページ14
04.懐かしむ
(昔を思い出し、その頃を慕わしく思う。懐かしく思う)
既に懐かしく感じてしまう数ヶ月前。
私はQuizKnockのオフィスに入り浸って大学の課題をこなしたり、記事を書いたり、食事したり…とにかく大学生活の後半の殆どをあの場所で過ごしていたような気がする。
私はQuizKnockライターを卒業した。
理由は簡単で、大学を卒業して社会人になったからである。
社会人は知らないこと大変なことが溢れかえっていて、この数ヶ月は怒涛の毎日だった。
だからこそ、そこまで前の思い出ではないのに、穏やかだったあの日々が遠くに思えて、懐かしいという感想を抱いてしまう。
朝起きると、背中に違う体温を感じた。
そして、後ろから聞こえてくる聞きなれた息遣い。
ああ、拓司か…いつの間に私の家に来てたんだ…
私の恋人である拓司には合鍵を渡しており、いつでも家に来ていいよ、と言ってある。
なので、こういう事は今までにも何度かあり、あまり驚きはしない。
夜寝る時にはいなかったけど、朝起きたら何故か同じベットで寝てる。
最初は不審者かと思って、つい叫んでしまったのも、今では良い思い出である。
拓司の寝顔は意外とかわいい。
いつもはどやどやしてて、めちゃくちゃ喋るけど、寝てるとその覇気がなくて可愛く感じてしまう。
朝から癒されて、とても幸せな気持ちになったけど、言葉で表せないから、好きが伝わるように彼のおでこにそっと口付けた。
拓司を起こさないように布団からそっと出て、リビングへとでる。
『朝ごはん何かあるかな…』
私一人ならば適当に済ましてしまうのだが、今日は拓司がいる。
とりあえず軽くご飯を炊いて、みそ汁を作り始める。あと、鮭の切り身があったから二人で一枚をシェアすることにした。
拓司はとっても忙しい。
今まではオフィスという、確実に集まる場所が保障されていた。
でも、今、卒業してしまった私には、拓司と必ず会える保障が消えてしまった。
さらに、私も忙しくなってしまって…
このままだと、会えない時間が積もっていき、二人の関係に終わりが来るんじゃないかって最近よく思う。
『はぁ…』
私にはその不安を言い出すことも出来ず、この状況を打破することも出来ず、深い溜息が出てしまう。
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からす猿 - 面白かったです!あとふくらさん推しの方、占ツクであまり見ないので嬉しいかったです。更新頑張ってください。応援してます! (2019年5月28日 3時) (レス) id: eb5caa933e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:烏賊 | 作成日時:2019年5月28日 0時