その少女、会話 ページ5
「横になっても良いですよ。ナイトレイブンカレッジまでは長いですからね」
黒い馬車に乗った私の頭を、クロウリーさんがゆっくりと撫でる。その温かい感覚に、思わず頬を涙が伝った。
クロウリーさんが驚いたように、私の目元を拭う。
「……少し、話でもしましょうか。ナイトレイブンカレッジについて、私がレクチャーしましょう」
『……あり、がとうございます……っ』
クロウリーさんはそう言って、ポケットからペンを取り出した。
それを一振りすると、私の服が寝巻きから上品なものへと変わる。……こんなの、初めて着た。
白のシャツと、ストライプのネクタイ。それから黒を基調としたジャケット？と、膝丈のスカート。
……でも、スカートは着ちゃいけないって義母さまが。
『……あの』
「学園では、貴女は何も我慢しなくて良い。着たいものを着て、食べたいものを食べて良いんです。美しい、醜いなんて関係ない」
『……はい』
義母さまからは、醜いものはスカートを着るなと怒られた。
街でスカートに目を惹かれると、義姉さまから「卑しい子」と殴られた。
すれ違う子たちが着ていた、ひらひらした可愛いスカート。私も、そんなものに憧れてた。
「さて、制服はそれでOKですね。……では、私服の方はクルーウェル先生に選んでもらいましょうか」
『クルーウェル、先生？』
「えぇ、我が校の教師ですよ。ファッションセンスもあるので、きっと貴女に見合う衣服を見つけてくださるでしょう」
楽しそうに笑って、クロウリーさんはもう一度ペンを一振り。
次は本の山私とクロウリーさんの間に落ちてくる。薄いのから、分厚いのまで。
題名の部分には「魔法史」や「錬金術」と書かれていた。……教科書だ。
それを見ると、今日から私は学校に通えるんだって実感が湧いてきて。
また涙を溢してしまった。
「……さて、お腹は空いていませんか？」
『……空いて、ます』
「ふふ、そうですか。ではこちらを」
ペンを一振り。私の手に収まったのは、数個のおにぎり。
義母さまたちのご飯の残りで作ったようなものじゃなくて、もっとちゃんとしたもの。
ゆっくり齧り付くと、白米の甘さと塩のしょっぱさ。……美味しい。
数個をあっという間に完食してしまった私は、お腹が満たされたからか眠気を催してしまう。
ほんの数分で、私の意識は夢へと沈んだ。
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推しが尊い - 先生まじで優しすぎて泣く。好感度がバク上がりした (9時間前) (
レス) @page46 id: 653187292b (このIDを非表示/違反報告)
Akal(プロフ) - まだ途中までしか読んでないけど…マジで夢主ちゃんとキャラ達和解してほしい…！義家族許せないわ、これは。夢主ちゃん大体悪くないのに… (2023年3月29日 16時) (レス) @page25 id: 5bb5794148 (このIDを非表示/違反報告)
森。(プロフ) - 何度も読み返したくなり戻って来ました！何度読んでも涙が出てきて…これ程までハマった作品は初めてです！完結おめでとうございます！ (2022年11月2日 7時) (レス) @page1 id: 21990a494b (このIDを非表示/違反報告)
ロナ - イラつきます。 (2021年10月30日 13時) (レス) @page37 id: db59ef0184 (このIDを非表示/違反報告)
こうめ - えっ、小説で初めてガチ泣きしたんだが？！！好きです！！ (2021年4月14日 0時) (レス) id: cfffb34543 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2020年9月18日 16時
