un cuoco curioso① (ページ10)

今日:50 hit、昨日:74 hit、合計:27,261 hit

【中等部】09 ページ10

翌日Aは自室の備え付けで朝食を作り、食べた後早々に汐見ゼミに向かった。
事前に寮母には朝食はいらないと伝えていた為に咎めは無いが、事情を知っているのかもう少し馴れ合えと言われた。

昨日汐見が持たせてくれた最短ルートの地図は頭に入っている為迷う事無くゼミに着くと丁度良いタイミングで葉山と汐見に出会った。

『おはようございます。』
葉「おはよ。」
汐「おはよう、Aちゃん！始業まで結構時間があるけどどうしたの？」

会うのは放課後の筈だったAとゼミの前で鉢合わせた事に驚く汐見。

『…こっちの道から校舎行く方が近いから、アキラと行こうかなって…思って。』
汐「わぁ!!良かったね葉山君！友達が迎えに来てくれたよー!」
葉「なんで潤が喜ぶんだ…？」

汐見は葉山が普通の子供、学生らしいところが見れた事に歓喜し、また放課後にと共に2人を送り出した。
送り出せれたAと葉山は横並びで校舎を目指して歩く。

葉「まだこの時間だと誰もいないんじゃないか？」
『うん、多分いない。だからその時間にアキラにスパイスの事教えて欲しい。』
葉「いいぜ。でも実物が無いからどういう料理に合うとかそれくらいしか教えられないぞ？」
『いいよ。市販で売ってるのは一応調べたり試したりしたけど…、アキラは色んなスパイスを使ってるし知ってるんでしょ？だったら使い勝手を知ってる人からの話を聞いた方が自分の為になるから。』
葉「Aがそう言うなら良いけど、真面目だな。」
『真面目かなぁ…？知りたいから教えてって言ってるだけど。』

知的好奇心が高いのか勤勉なのか分からないと葉山は思いつつ、汐見が言うように初めての同年代の友人であり共通点の多くさから親近感を抱いているAがそう言うならと道中や閑散とした教室内に担任が来るまで自身が使った事のあるスパイスの特徴や使い様を惜しげも無くAに与える。

＊

入学から2日目はクラス内の自己紹介であったが、Aも葉山も特に言う事も無く氏名だけ言いさっさと自席に戻る。
五大料理と言われる料理基礎を会得するのが中等部の役割であり、調理の授業では講師によるが基本はペアを組んで授業を受ける。
偶然にもAと葉山が同じクラスだった為、ペアを決める時間は初対面が殆どで中々組めない中Aと葉山はペア決めを言われた数秒でお互いをペアとして決めた。