un cuoco curioso① (ページ46)

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【中等部】45 ページ46

2人分より少し多いがはんぺん以外の煮込みが終わるとAはおもむろにクローゼットから毛布を出し慎重に土鍋に巻いていく。

葉「毛布？余熱を逃がさない為か？」
『余熱で大根に味が染みるし柔らかくなるの。』
葉「へぇ。」

普通の鍋で作った事はあるが土鍋は使った事の無い葉山は今度使ってみようと思いつつ片付けを済ませる。
夕方までは手持無沙汰なAと葉山は横長の炬燵に並んで入り、お茶と茶菓子を摘まみつつ直ぐに来るであろう年末の予定を話し合う。

葉「今年も実家に戻るんだろ？」
『うん、年末恒例のおせちの地獄があるからね…。』
葉「終わりが見えない詰め作業だったな。」
『途中から無になってひたすら手を動かしてるよ。』

年末にゆっくりする所か地獄の年末を送るAは既におせち作業を思い出し無の表情になっており同情しつつ葉山はAに頑張れとだけ送る。

ふと葉山は視界の端に勉強机の上に写真が置かれてる事に気付き、炬燵から出てその写真を手に取る。

葉「これ、実家の写真か？」
『ん？うん、そう。小さい時のやつ。』
葉「隣にいるのが言ってた義兄か。」
『そうだよ。よく父さんと料理勝負とゲテモノ勝負してる。』
葉「ゲテモノ…。」

あれは食べちゃいけないやつだとAは苦い顔をしながら初めてゲテモノを食べさせられた日を思い出す。
そこからAの家や義兄の事を話していたが、炬燵の暖かさと昼寝時の時間に逆らえずベッドの淵に背を預けAも葉山も揃って寝落ちした。

極星寮内で吉野を初め佐藤や青木の騒がしいメンバーは神出鬼没で交流してこないAが男を連れて来た事で騒いでいた。
元々同期という事で2人がペアを組んでいる事やニコイチなんて言われてるのは知っていたが、休日でも一緒なのかと憶測を立てつつ何故葉山を連れて来たのか気になっていた。

榊「やめなさいよ。才波さん嫌がるわよ？」
吉「分かってるけどさぁー、気になるじゃん!それに葉山がいたら仲良くなれるかもしれないじゃーん!」
伊「…さっき一色先輩がおやつがあるからおいでって言ってたけど反応無かったぞ。」
吉「才波が伝声管に応じないのはいつもじゃん!!」
榊「さっき葉山君が食材持ってたし、試作でもしてるんじゃないの？」
青「つーかもう突撃した方が早ぇだろ。」
佐「試作してんなら食ってみてぇよな！」

男女のアレコレも気なりつつも試作してるなら良いだろうと吉野達はAの部屋に向かった。