un cuoco curioso① (ページ16)

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【中等部】15 ページ16

調理台に戻り残っていた器具を片付けて暇を持て余していると遠くから講師のA判定と聞こえた。
えりな達もA達の後に審査を行ったのか、さも当然という顔で調理台を素通りしAの元に訪れた。

『…。』
葉「…なんか用か。」

葉山も流石に自分から来ないと思っていたからか、えりなが自分から接触してきた事に焦る。
えりなはAを後ろに下がらせた葉山に興味は無く見下す様に見遣る。

え「貴方に用は無くてよ。後ろの貴女、随分手際が良かったけど家はフレンチかイタリアンかしら？」
『………。(なんだこいつ…。)』

Aは今漸く葉山が言ってた事を理解した。
傲慢で高圧的なえりなはAが一番嫌いなタイプであり、葉山が言う通り相性が悪い。
更に葉山に対し見下す様な態度に少し腹が立った。

え「ちょっと、この私が質問してるのだから答えなさい！」
『うるさっ。』
葉「(やっぱり相性最悪だったな…。)A、それだけ言ってやれ。後は無視しとけ。」
『えぇ～…、関わりたくないんだけど…。』
え「なっ!?」

興味があるAから拒絶されたえりなは今まで真っ向からそのように言われた事は無く、僅かにショックを受ける。

『…大衆料理店、定食屋。』
え「…は？定食屋ですって？フンッ、料理業界の底辺じゃない！」
『…は？』
葉「(うわぁ…)あー、これはやっちまったな…」
え「事実よ！二流の料理人如きがこの遠月にいるなんて恥よ!!」
『お客の前に立った事も無い豚が吠えるな。』

Aは何も知らないえりなに一方的に【ゆきひら】を底辺扱いした事に静かに怒り出していた。

葉「お前、意外と口悪いな…」

しかもえりなに対して【豚】扱いした事に葉山も含め周囲はAの発言に驚く。

え「なっ、何ですって!?」
『他人の店を侮辱する奴は料理人じゃない。お前なんか豚で十分。』

Aはえりなの話を聞く気も無く、自身の荷物を持って教室から出ようとする。
葉山もそうなるよなと思いつつAと共に移動し始める。

この時えりなは自身は侮辱したAに怒りを抱いていたが、近くの調理台にいたAと同じクラスの生徒の会話が耳に入った。

女「うわぁ…、流石にあれは怒るよねぇ。」
女「そりゃそうだよ。…大丈夫かな"才波さん"。」
え「才波？…えっ!?」

えりなは耳を疑った。
入学前に祖父からえりなが尊敬している才波の娘が遠月に来ると聞いていた為交友関係を持ちたいと思っていたが、名前も姿も知らなかった。