un cuoco curioso⑯ (ページ33)

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【高等部２年】698 ページ33

葉山は自身の道具を持ちAと控室を出て無人の廊下を歩き会場内に繋がるゲート前に着くと葉山はピタリと足を止めた。

『？どうしたの。』
葉「…絶対今じゃないって分かってるけど、キスして良いか？」
『いいよ。』
葉「(あっさり…)」

Aから良いと言われると葉山はAの顔に手を添え軽く触れるようにキスをすると満足したのか少し口角が上がっていた。

『…満足？』
葉「あぁ。」

満足したと言う葉山はAの腰を引き会場内に入ると既に真凪たち薙切家は揃っており創真は葉山達より少し遅れて会場入りするとAは審査員とは別に薊の隣に用意された椅子に座る。

仙「双方揃ったな、試合開始まで準備をしておきなさい。」
創「うっす！…よぉ葉山ぁ、ゼッテー俺が勝つからな！」
葉「それは審査員、特に義母さん次第だ。」

創真は葉山に対しいつもの食戟と同じ様子だったが葉山はそれを流す様に淡々と自信の道具や使う器具を出したり確認をしていく。

薊「アキラくんは試作はしたのかい？」
『うん、何回か。今回はお母さんも満足すると思うよ。』
真「アキラがどの様な品を作るか楽しみだのう。」

本気で勝負できるとニヤケ顔で準備する創真と真剣な顔で準備する葉山を審査員席から見下ろす。

仙「時間だ。それではこれより幸平創真VS葉山アキラの食戟を開始する!!制限時間は１時間、お題は…"想いが見える皿"!!!」
創「(想いが見える…なぁ。)」
葉「スゥー…ハー…。」
仙「審査員は我ら薙切一族が請け負った！双方準備は良いな？」
創「うっす!!」
葉「はい。」
仙「宜しい、それでは…調理ッ―開始!!!」

試合が始まると葉山も創真も調理に取り掛かりAはその光景を見ながら会場に設置されたカメラの向こうでは審査員やお題に他の会場は動揺の嵐だろうと思っていた。

『…絶対他の会場で見てる生徒はお題と審査員に驚いてるね。』
薊「まさか十傑の食戟に薙切家が揃って出るとは思わないだろうからね。」
『選抜なら一人二人いるのは分かるけど今回５人だしね。』
真「アキラのやつ、余裕が無さそうだが大丈夫なのか？」
『大丈夫、初っ端からトップスピードで入らないと時間内に終わらないし複数の鍋を嗅ぎ分けながらタイミングを見てるから集中してるだけ。』

選抜でも連隊食戟でも常に余裕のある調理をしていた葉山だが今回は調理工程が多く開始時からトップスピードで複数の調理を熟し、途中創真が声を掛けるが葉山の耳には入って来なかった。