4話 ページ5
紹介とともに舞台へと上がる。
梓ちゃんと雫ちゃんがキラキラした目でこちらを見つめていた。
『神奈川県出身22歳、MiYaこと大宮Aです。』
「はい、唯一の女子練習生ソロということですけれども、久しぶりやなぁ。」
『はい。岡村さんお久しぶりです。よく私の事覚えていましたね。』
「まぁ、Aちゃんのお母さんが吉本のダンスグループの先生やったからなぁ…。お母さんに引っ付いて練習一緒にしてたん覚えとるよ。」
『あ、ありがとうございます。』
「じゃ、早速ステージ見せてもらいましょうかね」
雑談もそこそこに、ステージの中心で構える。曲は私の大好きなBLACKPINKさんのBOOMBAYAHだ。
1人でやるから、ラップも歌も全部歌わなくちゃいけないし、ダンスは1人用に完全オリジナル振付を考えた。
…さぁ、今の私は練習生じゃない。ここはステージだ。これからが本番、まだまだこれから、私はここだと会場全員に"魅せ"つけてやる。
曲が流れ出したらもう私の独壇場だ。
この曲のカッコ良さとセクシーさを存分に発揮できる振りを考えて、歌い方もそうなる様に研究したんだから、ステージで私が1番セクシーでかっこいいに決まってる。
テンションを上げてBOOMBAYAH！と声を張った瞬間、練習生がワッと歓声を上げてA-NON先生が楽しそうに拍手してくれているのが見えた。
そう、私はこの高揚感を求めていたんだ。
ステージに立つことの魅力にまたひとつ取り憑かれていく様な気分になった。
そしてボルテージMAXのまま私のパフォーマンスが終わり、評価を待つ時間になる。
息切れした身体と結果に緊張した心臓を深呼吸して落ち着かせながら結果を待っていると、WARNER先生から声がかかった。
「すいませんMiYaさん。何か踊れますか？」
『フリーでですか？』
「はい。なんでもいいです。」
『大丈夫です。踊れます。』
そして流れてきたのは、Bruno MarsのUptown Funk。アップテンポなファンク調のかっこいい曲で、私は Bruno Marsが大好きだからフリースタイルでガツガツHIPHOPダンスができてとても楽しかった。
「はい。ありがとうございます。」
「あ、じゃああなた、私も歌何か聞きたいんだけど何かできる？」
『大丈夫です。』
「バラード系ならなんでもいいわ。」
私がアカペラで歌ったのは、Back Numberさんのハッピーエンド。できるだけ失恋した切ない気持ちを込めて歌った。
「では、トレーナーの皆さん。評価を決めてください。」
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作者名：おおはら | 作成日時：2021年10月7日 14時
