恋風乱舞【ars M.A】 (ページ17)

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17.ヨニン・グミ。ページ17

俺に両手を握られ、フラッと俺の目の前まで引っ張られたAちゃんは益々赤くなっちゃって

本能マサキが衝動的にチューしそうになったけど、理性マサキが頑張ってくれた。

「バイト、休みだったから。来ちゃった」

俺が言うと、嬉しそうに俯く。

「じゃ！私たちは行きましょうか！」

トモちゃんが男子2人に「行くよ！」って言ってから、俺を見てニーッて笑った。

「また明日ね、A！」
「うん、トモちゃんバイバイ！」

Aちゃんが3人を振り返ったけど、俺の手は離さない。

「なぁ、トモー。俺、腹減ったなー」
「じゃ、何か食べて帰るー？」

そんな会話をしてる山田くんとトモちゃんを見てたら、イケメン男子と目が合った。

条件反射みたいに微笑んだら

彼もニッコリと笑って、俺に会釈する。

「ねぇ、たっ君も一緒に食べてくー？」

トモちゃんが、その彼に声を掛けた。

「えぇの？俺、邪魔にならへん？」
「何よー！水臭いなぁ！ねぇ、山田。全然邪魔じゃないよね？」

山田くんは「邪魔だー！」なんて言ってるくせに、『たっ君』って呼ばれた彼にまとわりついてる。

何か、可愛いんだけど。山田くん。

3人が俺たちにバイバーイって手を振って

「たっ君、何食べたいー？」
「えー？お好み焼きがえぇかなー」
「どうせ東京のお好みはアカン！とか言うんだろ！」
「アハハッ！言わへんよぉ」

楽しそうに、歩いてった。

「Aちゃん、お疲れ様」
「フフッ、全然疲れてませんよ？」
「ホント？」
「うん」

Aちゃんのポニーテールを触ると

少し恥ずかしそうに、俺から目を逸らす。

そこは上目遣いで見上げて欲しいんだけどなー。

「Aちゃん」

こっち向いて欲しいから名前を呼ぶと

「ん？」

思惑通り、上目遣いゲット！
かっわいー！
満足！

「夕飯、家で用意されてるよね？」
「あ...はい。今日は何も言ってないから...」

先輩に会えるなら夕飯いらないって言ったのに...って、ちょっと悔しそう。
かっわいー！
大満足！

「じゃあ、家まで送るよ」
「えっ...でも...良いんですか？」
「ちょっと、話したい事もあるんだ」

本題を口にしたら少し緊張しちゃって、それを隠すように繋いでる両手を揺らす。

「話、ですか？」
「うん。でも、たいした事じゃ...あ...えっとー...」

隠し事を『たいした事じゃない』って言うのはマズイ気がして

「えっとー...ちょっとだけ真面目なお話？かな？」

って、笑って誤魔化した。

誤魔化せた？