初桜、折しも今日は良き日なり【ars】 (ページ8)

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7.ギラギラ男。ページ8

大きな瞳に、高い鼻

ふわふわした茶色い髪に、ふっくらとした唇

俺の赤い着物ですら地味に見えるような、派手なマントが嫌味無く似合うその姿。

「ギラギラ...松本潤...」
「雉ってこんなに派手だっけ！？俺が知ってる雉の女の子は皆地味だよ！？」
「オレが知ってる雉のオンナノコも地味だわ」

雅紀とニノの会話を聞いてクスッと笑った松本潤が

「僕らは男の方が派手なんです」

女性は控え目なんですよ、と説明してくれた。

「珍しいんだな！」
「ねっ！女の子は皆、華やかなもんだと思ってた！」

穏やかな表情の松本潤が、俺に向き合う。

「本当にありがとうございました。この御恩、どうお返ししたら良いでしょうか」
「そんな気にしないでよ」
「いえ、そうは行きません。何か、僕に出来る事は無いでしょうか」

見た目の派手さとは違って、真面目なんだなぁ...

あ、じゃあ...

「君も、鬼ヶ島...行く？」
「鬼ヶ島、ですか？」
「うん。俺たちこれから鬼ヶ島へ鬼退治に行こうと思ってるんだけど...暇？」

松本潤は、目をパチパチ瞬きさせたと思ったら、形の良い唇をキュッと上げた。

「良いですね！楽しそうじゃないですか！是非、お供させて下さい！」

お、仲間増えた。って、ニノが拍手してる。

旅は道連れ！って、雅紀が笑ってる。

「じゃあ、紹介しとくよ。こっちの犬が相葉雅紀で、こっちの猿が二宮和也。で、俺が桜翔太郎」

翔って呼んでよ、って言うと松本潤は「はい！僕の事も、潤って呼んで下さい」って嬉しそうに微笑んだ。

「僕、空を飛んで上空から偵察出来ますから！お役に立てるように、頑張ります！」
「そんな頑張らなくて良いよ！アイツらも多分全然頑張ってないから...」

俺と潤が話してる向こうの方で、あの二人は雅紀がニノの尻尾を引っ張った事がキッカケでケンカしてる。

「潤、お腹減ってない？」
「え？...あぁ、そう言えば少し...」
「じゃあ、これ食べなよ！」

腰の巾着から、チェリーパイを出す。

甘い香りがふわっと漂った。

「どーぞ」
「美味しそう！ありがとうございます！」

潤は上品に両手でパイを持って、パクリと一口食べる。

見た目はすっごい派手なんだけど、中身はとっても真面目で素朴な潤が加わった事で

何だか、俺はちょー安心した。

「俺っ、絶対！鬼、退治するからっ！」

俺、やれる気がして来た！

待っててねっ！お婆さん！