初桜、折しも今日は良き日なり【ars】 (ページ5)

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4.MONKEY。ページ5

「しょーたろさん♪しょーたーろさーん♪おっこしーにつっけたー♪チェリーパイー♪」

雅紀が陽気に歌いながら、俺の前を歩いてる。

背が高い雅紀のサラサラの髪の毛がふわっふわ

「ねぇ！翔ちゃん！」

クルッと振り返った雅紀が小首を傾げた。

「何？」
「鬼退治したら、何かイイコトあるの？」
「あー...金銀財宝を隠し持ってるらしいんだよ」

俺と雅紀がそんな話をしてた時

頭上から「聞き捨てならんな」って声が降って来た。

顔を見合わせた俺と雅紀が、恐る恐る上を見上げる。

そこには木の枝に腰掛けて、脚をブラブラさせてる男。

色が白くて、目が茶色い。

「その金銀財宝は、どこにあんだよ」

初対面とは思えない不躾な態度に戸惑ってると、彼は身軽に地面に飛び降りた。

お尻にヒュルンと長い尻尾が生えてる。

「なっ...何なの...お前...」
「怖いー！翔ちゃん、コイツ怖いー！」

雅紀が俺の背中に隠れた。

「うっせぇな、犬畜生が。犬猿の仲って本当だな」
「犬猿...あ、お前は猿なんだ...」
「どーも猿やってます、二宮和也です。ニノ、とでも呼んでよ」

口角をキュッと上げて、何とも可愛く笑う。

「雅紀、何か可愛いよ、このお猿さん」
「絶対それ、ブリッ子してるだけだよ...騙されちゃダメだよ」
「おい、そこの犬！ちょっと出て来いや！」

ほらー！怖いーっ！って雅紀はまた俺の後ろに身を隠す。

「なぁ、金銀財宝についてオレにも教えてよ」
「ニノ...は、金銀財宝が欲しいの？」
「欲しくない奴なんていんの？いねぇだろ。世の中、金」

クフッと笑うその姿は可愛いのに、言ってる事が...

「何か、鬼ヶ島に金銀財宝があるらしいんだけどさ...」
「鬼ヶ島？ほぉ...で？」
「鬼、ってゆー化物がいるからその鬼を退治しなきゃ金銀財宝は手に入らないんだよ」
「ふーん...で、アンタ方は鬼退治に行く...と」

うんうん、と俺が頷くとニノは腕を組んで暫く何かを考えて「決めた！」と指を鳴らした。

「オレも行く！」
「えぇぇぇーっ！？」
「うっせぇ！犬！」
「俺、相葉雅紀って名前があんのっ！」

威勢良く言ってる割りに、雅紀の耳は完全に寝てしまってる。

結構ヘタレ？

「オレ、連れてると便利だよ？賢いし、身軽だし」
「賢い...か」

チラッと雅紀を見る。

「それ、良いなぁ」
「何よ！翔ちゃんっ！今、俺の事バカだと思ったんでしょ！」

ごめん、雅紀。

冒険に知性はやっぱ、欲しいです。