初桜、折しも今日は良き日なり【ars】 (ページ17)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:282,796 hit

16.寝起き。ページ17

商談を終えたのか、二人はガッチリと握手を交わして笑顔で戻って来た。

「翔ちゃん、さっきは恨むなんて言ってごめんな？良いビジネスチャンスを見付けたよ、サンキュ！」
「え？あ、あぁ、良かった...」

ホント良かった。

ニノに恨まれたら、その恨みが末代まで続きそうなんだもん。

「じゃあ、そろそろうちに帰ろうか！」

智くんがAちゃんに「お代、おれでつけといて！」って声を掛けた。

「うん。みなさん、ゆっくり休んで下さいね！」

ポニーテールをゆらりと揺らしてお辞儀をするその姿からまた目が離せなくなった俺を、雅紀が店から引っ張り出す。

「もう...翔ちゃんには恋愛レクチャーが必要だね」
「レクチャー...って」

まぁ確かに、初心者も初心者だから教えて貰えるなら何でも教えて頂きたい。

智くんの家に帰った俺達は、それぞれ智くんの部屋着を借りた。

部屋着になっても潤はあのマントを着けたまんまで、ニノが「外さねぇの？」って訊いたら「外れないの」って言ってた。

そりゃ羽根だもんな。

旅の疲れもあった俺達は、泥のように眠りに落ちて

翌朝、智くんに起こされるまで誰一人目を覚まさなかった。

「おはよう！良い天気だよぉ！」

元気な智くんの声に思い瞼を開くと、窓から燦々と射し込んでる朝陽。

「おはよう、智くん」
「おはよう、翔くん」

窓から外を見てみると、昨日は見えなかった明るい島の様子が見えた。

ヤシの木が並んで、向こうには真っ青な海が広がって...

「ここ、こんなに綺麗な島だったんだ...」
「キタ！ロケーション完璧」
「あ、ニノ。おはよう」
「おはよう、翔ちゃん。こりゃ、ビッグビジネスになるわ。ゾクゾクすんな！」

いつの間にか起きてたニノが俺の隣に並んで外を眺めて、満足そうに笑ってる。

振り返ると、布団の上にチョコンと座った雅紀が目をコシコシと擦りながら大あくびをしてて

その雅紀が「潤くん、朝だよー...」って潤を起こしたら、小さな声で「うっせぇ...うぜぇ...」って返されてる。

「Ｊは寝起き悪いタイプなんだな...」
「うん...」

ゴキゲン斜めな潤は気が済むまで寝かせてやって、俺らは帰り支度を始めとく。

その間に智くんがトーストを焼いてくれて、それを食べてたら潤も起きて来た。

「おはよう！良く寝た！良い天気だね！」

ニコニコしてる潤を見て「...二重人格...？」って雅紀が心配そうに呟いた。