空想フランシール４th 【ars S.S】 (ページ5)

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110.ストロベリーキス。ページ5

口がケーキいっぱいでモゴモゴしてる俺に、Aちゃんが水を持って来てくれた。

その水で口の中のイチゴやタルトを流し込んで気持ちを落ち着けようと思ったけど、簡単には落ち着けない位俺はドキドキしてた。

「美味しいですね、やっぱり」

Aちゃんは平気な顔して、ニコっと笑う。

「じゃ、俺も食べさせたげるよ」

ちょっとだけ一口分にしては大きい位のケーキをフォークに乗せる。

「はい、Aちゃん。あーん」
「あーん」
「もっと開けなきゃ入らないよ？」
「あー...」

無防備に口を開ける女の子って...何かえろいな。

あー、ダメだ。
完全に思考がそっち側に持ってかれてる。

やっぱり、一口には大きかったみたいでAちゃんの口の端にクリームが付いた。

狙ってたんだろって言われたら、まぁ、その通りだけどね！

だって男の子だもん！

幸せそうにモグモグしてるAちゃんに顔を近付けて、ペロリ、口の端のクリームを舐め取る。

「...うまい」

Aちゃんは、ちょっと恥ずかしそうにキュっと口角を上げた。

俺はケーキに乗ってたイチゴを一つ摘まんで、口に軽く咥えてAちゃんの後頭部を抱き寄せる。

近付いた俺の唇に咥えられてるイチゴを、Aちゃんがパクっと咥えた。

舌でイチゴを押し出し彼女の口の中に入れて、そのまま口付ける。

イチゴの味がする。

Aちゃんの腕が、俺の首に回る。

イチゴ味のキスなんて、まるでファーストキスの可愛い想い出みたいなフレーズだけど。

「んっ...」

その押し殺したような声は、そんな甘酸っぱく無い。

甘くて甘くて、甘さに溶けてしまいそう。

ごめんね、神様。

『聖なる夜』じゃなくって、結局『性なる夜』にしちゃいそう、俺。