140.良い夢見てね。 ページ35
ニノのマンションは相変わらず都会的で、こんな家に住みたいなー...なんて思いながらオートロックのインターホンを押す。
「はーい、今開けるね」
「...え？」
聴こえた声と同時に、エントランスの扉が開く。
ってか今の声って...
「翔ちゃーん！」
「やっぱお前か」
ニノの部屋のドアからヒョコッと顔を覗かせてる雅紀が手を振る。
「翔ちゃん来たんだろ！？さみぃから早く閉めろや！」
部屋の奥からニノの叫び声が聴こえる。
「暴君がうるさいから早く入って！」
「はいはい」
真っ白な部屋に入ると、ニノはソファに座らず床の上にペタンと座り「いらっしゃい」と笑う。
「翔ちゃん！コイツ酷くない？」
「何が？」
「床暖房がヌクヌクだから動きたくないって、さっきから俺ばっかり動かせるの！」
「あぁ、だから雅紀が出迎えてくれたのか」
訴えられてる当のニノは、ゴロンと寝そべって「マジ床暖房天才」と言いながらテレビを観てる。
「あれ？智くんは？」
「おーちゃんなら、アソコ」
雅紀が指差したのは、パーテーションで仕切られた向こう側。
ベッドが置いてあるトコ。
雅紀が『何かえろいよね』としつこい程言う、あのスペース。
「寝てんの？」
「さっきまでテレビ観てたんだけどね？突然わーっ！ってなって...」
「...は？」
「寝ろ、ってニノにベッドに押し倒されてた」
いやいや...その言い方ではちょっと誤解を招くぞ、雅紀。
「大野さん、仕事でちょっと煮詰まってるみたいでさー」
ゴロゴロしてるニノが俺を見上げながら説明する。
「職業柄、締切前にわーっ！ってなっちゃう人はよく見てるから」
「わーっ...て」
「ま、そーゆー時はとりあえず寝かせて落ち着かせるのが一番だわ」
そうかー。
智くんも大変なんだなぁ...
ソーっとパーテーションの奥を覗くと、智くんは布団に包まって気持ち良さそうに寝てる。
「...にゅ...」
「ん？」
智くんの口元がモゴモゴ動いて、小さな声が聴こえた。
ベッドの側にしゃがんでその声を聴き取ろうと耳を澄ます。
「...きょ...にゅう...」
「きょ...は？」
「巨乳...フフッ...」
...何の夢見てんだよ...
何、幸せそうな顔してんだよ...
「大野さん、でけぇの好きだかんな」
「そーなのー？俺は手触り重視かな！」
いつの間にか背後に立ってた二人が手をモミモミ動かしながら喋ってる。
「翔ちゃんは？」
俺？
俺は感度重視だよー！
...なんて、言うか！
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=737d93b0b8e65d518115fdba3e25cc75...
作成日時：2013年12月12日 19時
