148.３つ向こう。 ページ8
その日の仕事中は、それはもうソワソワしていた。
何度も腕時計を見て、壁時計も見て。
何でこういう時って、時間が進まないんだろうなんて小学生が考えるような事を考えながら、また時計を見るとさっき見た時から５分しか経ってなくて。
いつもの何倍も働いた気分になりながら、俺は帰りの電車に揺られていた。
外はもう、すっかり暗くて車内にも疲れきったスーツ姿のお仲間達がグッタリしている。
「フゥ...」
小さく息を吐き出す。
いつも降りる駅。
そこを通り越して、３つ向こう。
普段は降りない駅。
乗り越し精算機に定期を入れて、三駅分の運賃を支払って改札を出た。
駅前の商店街を歩く。
総菜屋から、良い匂いが漂って来て思わず大きく息を吸い込んでしまう。
ただ、閉店時間なのかシャッターを閉め始めてる店も多い。
その様子を見て「ヤバイ、もう閉めてるかな...」と腕時計に目をやる。
俺は少し早足になって、目的の店の前まで急いだ。
高校生の頃から何度か来たことのある店だ。
その頃は、店に来てたと言うより家に来てたんだけど。
「あ、ギリギリ...セーフ...かな？」
お目当ての店は、店内の照明は点いていてシャッターが半分だけ閉められてる。
電気が点いてるって事は...人は残ってるって事だよな。
俺は屈んで、その開いてる部分から中を覗いてみた。
フワリと、良い香りがする。
総菜屋の匂いとはまた違う、良い匂い。
「すみませーん...」
「はーい！」
俺の呼び掛けに、声が返ってきた。
低く、張りのある声。
「あれっ？！」
半分シャッターが閉まった店頭に屈んでる俺を見て、店の奥から走って出てきた潤が笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nekomura(プロフ) - イロコイラインからとんできました。一気に読んじゃった！もう最高です！可愛いしょさんも、わちゃわちゃなにのあいもほんとに愛しすぎて、読み進めるのが勿体無いと思いつつ、一気に読んでしまいました(;^_^A素敵なお話、ありがとうございます！ (2016年6月21日 23時) (
レス) id: bc193ab9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ムーナカ(プロフ) - もう何度目だろう…。何度読んでも好きだ…！コメ見てると同じ様に読み返してる人が多いみたいで、やっぱりいいよね！ペーパーアダルトな翔ちゃん！(と男子会！)とあらためて感じております。 (2015年8月17日 23時) (レス) id: 0c2c0c5cc4 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - もちろん現在更新されてるお話も愛読させて頂いてます!reiさんのお話はいつも私の癒しです。これからも応援させて下さい!!長々と失礼しました("/△-") (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - 今reiさんのお話読み返しキャンペーンやってます！(←受験生なのに!課題終わってないのに!(笑))読みながら思うのは次の更新を楽しみに待ってたのはもう1年も前なのかと(/д`。。)完結した寂しさをまた感じてます(泣)でも、reiさんのお話は何度読んでもドキドキします！ (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
嵐love(プロフ) - 読みました。なんと今回で読むのは、２回目でした。久しぶりに読んだらこんなお話だったかなぁと思って最初は、読んでいました。けど読んでいくうちに段々思い出しました。私的には、二人の悪魔が大好きです。 (2015年5月24日 13時) (携帯から) (レス) id: 074d8cdebf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2013年10月17日 10時
