182.空想カタルシス。 ページ42
「じゃ...またね」
「はい」
Aちゃんの頭をポンポンと撫でて、俺は玄関に向かった。
そこには赤いスニーカーがちゃんと揃えて置いてあって、俺はあんな動揺してたにも関わらずちゃんと靴揃えてたのかよって思うと何か笑える。
「その靴、可愛いですね」
背後からAちゃんが俺の靴を覗き込む。
「雅紀のお見立てなんだ。アイツ、顔とセンスだけは良いから」
「顔とセンスが良ければ、人生勝ったも同然ですよ」
Aちゃんがアハハと笑う。
「今度一緒に行こうか、雅紀の店。女の子の物もあるし」
「はい！行ってみたいです！」
「じゃ、来週にでも行こうか？」
「うん、冬服欲しかったし！」
もう別に、次の約束なんていらないのかもしれないけど。
次の約束があるのは、やっぱ心が躍る。
「じゃあね」
「はい」
何度も繰り返した帰る為の言葉が、やっと本物になって俺はAちゃんの部屋を出た。
「さっみぃ...」
マンションの前に停めてた車は、駐禁を切られる事も無くそこで静かに待っててくれた。
車に乗り込み、エンジンをかけると冷えた車内に温風が流れてあったまる。
「...俺、意外とキザだな」
助手席に置いた、四本の薔薇を見て俺は自嘲する。
部屋に残した、三本の薔薇に隠された俺の想いを、Aちゃんに直接伝えられる日がいつ来るのか。
俺にそんな事、言えんのか分かんないけど。
でも、いつの日にかちゃんと。
伝えたいなって思うんだ。
救世主になってくれた君に、いつかきっと。
俺のまるで空想みたいな理想を、ぶっ壊して浄化してくれたAちゃんに俺は、休んでた五年分、恋焦がれるんだ。
君に、一生分の恋をするんだ。
君と、一生、恋しよう。
■ＥＮＤ■
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Nekomura(プロフ) - イロコイラインからとんできました。一気に読んじゃった！もう最高です！可愛いしょさんも、わちゃわちゃなにのあいもほんとに愛しすぎて、読み進めるのが勿体無いと思いつつ、一気に読んでしまいました(;^_^A素敵なお話、ありがとうございます！ (2016年6月21日 23時) (
レス) id: bc193ab9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ムーナカ(プロフ) - もう何度目だろう…。何度読んでも好きだ…！コメ見てると同じ様に読み返してる人が多いみたいで、やっぱりいいよね！ペーパーアダルトな翔ちゃん！(と男子会！)とあらためて感じております。 (2015年8月17日 23時) (レス) id: 0c2c0c5cc4 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - もちろん現在更新されてるお話も愛読させて頂いてます!reiさんのお話はいつも私の癒しです。これからも応援させて下さい!!長々と失礼しました("/△-") (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - 今reiさんのお話読み返しキャンペーンやってます！(←受験生なのに!課題終わってないのに!(笑))読みながら思うのは次の更新を楽しみに待ってたのはもう1年も前なのかと(/д`。。)完結した寂しさをまた感じてます(泣)でも、reiさんのお話は何度読んでもドキドキします！ (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
嵐love(プロフ) - 読みました。なんと今回で読むのは、２回目でした。久しぶりに読んだらこんなお話だったかなぁと思って最初は、読んでいました。けど読んでいくうちに段々思い出しました。私的には、二人の悪魔が大好きです。 (2015年5月24日 13時) (携帯から) (レス) id: 074d8cdebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2013年10月17日 10時
