172.日付が変わる頃。 ページ32
Aちゃんが言った言葉は、そのまま俺がAちゃんに言いたい言葉だった。
某名曲みたいに『もう恋なんてしないなんて、言わないよ絶対』なんて強がりさえも言えず。
『もう恋なんてしないに決まってんだろ、しないんだもんね！』って腐りきってたこの俺を、こんな気持ちにさせてくれた。
「Aちゃん」
俺の右手を包んでるAちゃんの両手の上に、左手を重ねる。
「ありがとう、こんな俺に恋してくれて」
Aちゃんの目が、また潤んで涙が零れる直前に彼女はギュッと目を閉じた。
でもやっぱり口はへの字になってて、まるで子供が泣くのを必死で我慢してるみたいで笑ってしまう。
「さっき泣かさないって約束したばっかりなのに、ごめんね」
フフッと笑いを含んだ声で言うと、彼女も「...嬉し泣きは無効です」と笑った。
展望台にある背の高い時計が、そろそろ日付が変わるのを知らせてる。
「...眠くない？」
「櫻井さんは？」
「ハハッ、この状況では眠くなんないなぁ」
これで眠くなれる男がいるなら連れてきて欲しい。
そして、お前はどんな精神力なんだ、と問いたい。
「けど、そろそろ帰った方が良いかな？」
時間もだけど、二人とも体が冷えてきてるのが分かる。
本当に風邪を引いたら、イルカプールで端っこに座った意味が無くなるし。
Aちゃんの頬を優しく触り「寒いでしょ？」と訊くと顔を真っ赤にして頷く。
「じゃ、行こうか」
「はい」
俺はAちゃんの手を引いて、車に戻った。
その途中でAちゃんが「櫻井さん、こんな俺って言ったけど...」と俺の顔を見上げながら呟く。
「櫻井さんに恋しない女の子なんて、いないでしょ？」
「...んっ？！」
「他の女の子に取られないように気を付けなきゃ」
楽しそうに笑うAちゃんに、俺は多分普通じゃないくらいドキドキしちゃって、軽く目眩がする。
動悸が気持ち悪い、そんな自分が気持ち悪い。
これ位で、ここまで動揺するからペーパーアダルトなんて言われるんだな。
納得だわ、ホント。
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Nekomura(プロフ) - イロコイラインからとんできました。一気に読んじゃった！もう最高です！可愛いしょさんも、わちゃわちゃなにのあいもほんとに愛しすぎて、読み進めるのが勿体無いと思いつつ、一気に読んでしまいました(;^_^A素敵なお話、ありがとうございます！ (2016年6月21日 23時) (
レス) id: bc193ab9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ムーナカ(プロフ) - もう何度目だろう…。何度読んでも好きだ…！コメ見てると同じ様に読み返してる人が多いみたいで、やっぱりいいよね！ペーパーアダルトな翔ちゃん！(と男子会！)とあらためて感じております。 (2015年8月17日 23時) (レス) id: 0c2c0c5cc4 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - もちろん現在更新されてるお話も愛読させて頂いてます!reiさんのお話はいつも私の癒しです。これからも応援させて下さい!!長々と失礼しました("/△-") (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - 今reiさんのお話読み返しキャンペーンやってます！(←受験生なのに!課題終わってないのに!(笑))読みながら思うのは次の更新を楽しみに待ってたのはもう1年も前なのかと(/д`。。)完結した寂しさをまた感じてます(泣)でも、reiさんのお話は何度読んでもドキドキします！ (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
嵐love(プロフ) - 読みました。なんと今回で読むのは、２回目でした。久しぶりに読んだらこんなお話だったかなぁと思って最初は、読んでいました。けど読んでいくうちに段々思い出しました。私的には、二人の悪魔が大好きです。 (2015年5月24日 13時) (携帯から) (レス) id: 074d8cdebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2013年10月17日 10時
