161.赤と黄色。 ページ21
洒落にならない位濡れると思うよ？
冬だよ？
風邪引いたら大変だ！
せめて、端っこに行こう！
俺はAちゃんを説得して、一番前の端っこに移動した。
「この季節だと濡れたら乾きませんもんね」
ハハッてAちゃんは笑う。
「夏なら濡れても気持ち良さそうだけどね」
「じゃあ、夏には真ん中座りましょうね！」
「...夏には...？」
「あ、私、温かい飲み物買ってきます」
そう言うとAちゃんは、自分の鞄の中から財布だけを出して走っていった。
夏には...。
夏の、約束？
来年の夏？
...俺と？
いやいや、二人でなんて言われてないでしょ。
勝手に舞い上がったらいかんいかん。
俺は首をフルフルと振って眉をしかめる。
少しずつ埋まっていく座席。
けどやっぱり寒いからか、濡れてしまいそうな一番前の列はなかなか埋まらない。
そこに、あの日の俺達みたいな学生の男子が何人かでやって来てその内の三人がさっきまで俺とAちゃんが座ってた最前列真ん中に腰を下ろした。
「お待たせしましたー。櫻井さん、コーヒーで良かったですか？」
「あ、ありがと。コーヒーで良いよ」
「おしるこ、無かったんですよ。コーンポタージュはあったのに」
「...コーヒーで良いよ」
片手で器用に缶を持ってもう片手には何故かアメリカンドックを持ったAちゃんが帰って来て隣にストンと座る。
「結構混んできましたね！あ、コーヒーどうぞ」
Aちゃんは俺に一本、缶コーヒーを渡して自分のはベンチシートに置く。
「アメリカンドック、食べるの？」
「美味しそうだったから、つい買っちゃいました」
肩をキュッと上げて、ちょっと気まずそうにヒヒッと笑う。
「けどお腹いっぱいだったの忘れてて」
「それ、忘れる？」
「誘惑に負けたんです」
コートのポケットからケチャップとマスタードの小さな袋を出して、「櫻井さん、マスタード平気ですか？」と訊いて俺が頷くと両方をアメリカンドックにかける。
「一人じゃ食べられないんで、櫻井さんも食べて下さい。お先にどうぞ！」
赤と黄色に彩られたアメリカンドック。
俺に手渡しながら「早く始まらないかなー、イルカ」とプールを見てるAちゃん。
...間接キスになっちゃうよ？
また、無防備になってる彼女にソワソワして。
俺はAちゃんとは逆の方向に顔を向けて、アメリカンドックをガブッと大きく一口食べた。
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Nekomura(プロフ) - イロコイラインからとんできました。一気に読んじゃった！もう最高です！可愛いしょさんも、わちゃわちゃなにのあいもほんとに愛しすぎて、読み進めるのが勿体無いと思いつつ、一気に読んでしまいました(;^_^A素敵なお話、ありがとうございます！ (2016年6月21日 23時) (
レス) id: bc193ab9b8 (このIDを非表示/違反報告)
ムーナカ(プロフ) - もう何度目だろう…。何度読んでも好きだ…！コメ見てると同じ様に読み返してる人が多いみたいで、やっぱりいいよね！ペーパーアダルトな翔ちゃん！(と男子会！)とあらためて感じております。 (2015年8月17日 23時) (レス) id: 0c2c0c5cc4 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - もちろん現在更新されてるお話も愛読させて頂いてます!reiさんのお話はいつも私の癒しです。これからも応援させて下さい!!長々と失礼しました("/△-") (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
Mt.しゃどう(プロフ) - 今reiさんのお話読み返しキャンペーンやってます！(←受験生なのに!課題終わってないのに!(笑))読みながら思うのは次の更新を楽しみに待ってたのはもう1年も前なのかと(/д`。。)完結した寂しさをまた感じてます(泣)でも、reiさんのお話は何度読んでもドキドキします！ (2015年7月13日 21時) (レス) id: 4aeed11543 (このIDを非表示/違反報告)
嵐love(プロフ) - 読みました。なんと今回で読むのは、２回目でした。久しぶりに読んだらこんなお話だったかなぁと思って最初は、読んでいました。けど読んでいくうちに段々思い出しました。私的には、二人の悪魔が大好きです。 (2015年5月24日 13時) (携帯から) (レス) id: 074d8cdebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2013年10月17日 10時
