空想カタルシス 2nd 【ars S.S】 (ページ14)

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49.コーヒー。ページ14

雅紀にはちょっと小さめなニノのTシャツとブルゾンを羽織って「ちょータイトなシルエット」って大笑いしながら、雅紀は仕事に出てった。
さすがにパンツはサイズが合わなかったらしく、昨日も着てたジーンズで。

「騒がしかったなぁ…朝から。余計な仕事まで増やしてさぁ」

散らばった書類たちを集め終わってデスクに積み上げながら、ニノが呟く。

「これで良し…翔ちゃん！コーヒーでも飲みますか？」

ホコリを払ってるのか手をパンパンと叩きながら仕事部屋から出てきたニノが、そのままキッチンに立つ。

「あー...ちょっと気持ち悪いから、これで良いや」

俺は手にしてた水入りコップをニノに見せた。

「そ？じゃ、オレのだけでいっか」

ニノはインスタントコーヒーを淹れながら眠そうに片目を閉じてアクビをする。

「ニノ、二日酔いは？」
「んー？ダイジョブ。酒くせぇけど」

ンフフと笑うと、ニノはマグカップに淹れたコーヒーを持ってソファに座ってる俺の隣にポスンと腰掛けた。

「ニノ、相変わらず酒強いなぁ」
「翔ちゃんは酒弱くなってない？歳なんじゃないの？」
「笑えないわ、この歳になると」
「クフッ、ダイジョブよ翔ちゃんは。見た目は若い」

「見た目は、って何だよ」と俺が言うとニノは「大事だよー、見た目年齢」と片眉を上げて俺を見ながらテレビをつけた。

土曜の朝、という感じの番組を別に見るわけでも無く、俺らはボーッとしていた。

チラッとニノを見ると、伏し目がちに両手でマグカップを包んでる。
ロンTの袖が手の甲まで隠してて、女の子みたいだ。

「ニノさぁ」
「なに？」
「ニノって、彼女は？」
「何よ、急に」

クスクス笑いながらニノはコーヒーを飲む。

「いやぁ...何か最近あんまり彼女の話って、ニノから聞かないなぁと思って」
「最近、彼女は居ないからね」
「彼女『は』って何なんだよ」

雅紀とタイプは違うけど。
コイツもなかなかだよな。

「良いよ、オンナノコは。翔ちゃん、ちゃんとオンナノコの抱き方覚えてる？」

俺は口に含んだばっかりだった水をブハッと吹き出してしまって、ニノに「翔ちゃん、そんな漫画みたいな反応やめてよ」と大笑いされた。