PRESTO！【ars M.A】 (ページ22)

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22.驚異の正体。ページ22

ニノが焼いてくれた塩タンは美味しくて「うま」って呟くと「当たり前だろ、誰が焼いたと思ってんだ」ってビールを飲みながら言う。

「そんで、そのカッケー香取さんはワタヌキちゃんの初恋の人だった...と」
「うん...」
「何でそんなコト訊いたのよ。自爆じゃん」

ばーか、って呆れたようにニノは俺を見た。

「だよねぇ...何であんな事訊いちゃったんだろう...俺、ちょー馬鹿」
「しかも香取さんがどんな人なのかも訊いちゃったと」
「うん...」
「それ聞いたって、何の意味もねぇだろ？どんだけ自爆してんだよ」

俺、あの時

Aちゃんにとって香取さんが初恋の人だったって事、知った時

黙ったらヤバイと思って思わず「香取さんって若いのにオーナーしてるなんて凄いよね！」って言っちゃって...

そしたら図らずも知っちゃった、香取さんの正体。

コンビニは元々香取さんのお父さんがオーナーだったけどもう引退するから、って香取さんが受け継いだだけらしい。

香取さん自身は、そのコンビニオーナーの他にカフェを二軒とバーを一軒やってる経営者...らしい。

「青年実業家だな」
「そうなんだよねぇ...もう、肩書まで格好良いんだもん」

しかもAちゃんの初恋の相手。

勝てないー...。

「ニノォ...幼馴染の絆って、割って入れないよねぇ...」
「そうかー？ただの幼馴染みだろ？別に元彼とかでもねぇんだろ？」
「だって、潤くんと彼女はさぁ...」
「あそこは特別だろ」

けど幼馴染み、って聞いたら潤くんと彼女の事しか連想できないんだもん。
幼馴染みの女の子とお互い初恋で、一生でたった一人だけを愛して結婚する潤くん。

「でも香取さんってさ、結婚してんじゃねぇの？そんなオトナだったら」
「...わかんない」
「何でそこ訊かねぇんだよ...」

ニノは塩タンから焼く肉をカルビに変えた。

「で？ワタヌキちゃん、まだ香取さんのコト好きそうなの？」
「...わかんないけど、楽しそうだった」
「楽しそう...ねぇ」

俺には見せた事の無いような顔したもん。

「ってかさぁ...」

手にしてたトングを置いて、ニノは俺をジッと見る。

「相葉さん、ちゃんとした訳？」
「え？」
「クリーンな雅紀くんになった訳？」
「...あっ！！」

...忘れてた...

「お前、マジかよ...」
「......」
「シッカリしろやぁ、そこ放置すんなや」

はぁ...と溜息を吐いて、ニノはキムチをパクっと食べた。