PRESTO！【ars M.A】 (ページ21)

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21.恋愛相談。ページ21

「で？この案件はどうして問題発生からこんな時間が経って議題に上がった訳？」

塩タンを焼きながら、ニノはシラーっと訊いて来る。

「...何とか自分の中で消化できるかなー...？って思ってたんだよねぇ...」
「でも消化不良になったのね？」
「うん、そう。吐きそう」

マジかよ、便所行けよ。って、冗談なのに本気で嫌そうな顔をする悪友。

「でもさぁ、それ正月だろ？正月ちょっと過ぎた頃皆で集まったよなぁ？そん時何で言わなかった？」
「んー...おめでたい話の席だったから...」

世間の正月気分も消え始めた頃に、潤くん以外の皆で集まって潤くんの結婚式でやる余興の事について話し合った。
でも、そんな時にこんな暗い話は出したくなかったし、本当に自分の中でどーにか出来ると思ってたんだよなぁ...

「別にあの人達だったら、普通に親身になって聞いてくれたんじゃね？」
「うーん...そうだけどさぁ...」
「にしてもさ、お前一人でどんだけ悩んでたんだって話。もう二月だけど」

クフフって、ニノは可笑しそうに笑う。

...笑い事じゃないのに。

でも、俺はニノの言う通り一ヶ月近くもモヤモヤしたまんまだった。
あれからAちゃんとはコンビニで顔を合す程度だし、もちろんそれだって毎回会える訳じゃないし。

そんで、そん時初めて気付いた。

俺、Aちゃんの連絡先知らない...って。

それに気付いた時、急に心細くなった。

もし、今Aちゃんが仕事を辞めたら俺はもうきっと会えない。
俺と彼女には全然、繋がりが無いんだ。

そうなったら、もう一人で消化できる気なんて全然しなくって

仕事が早上がりだったからニノの会社まで行って、待ち伏せてみた。

会社から出て来たニノは分かりやすく眉毛を顰めて「お前、何してんのよ？」って迷惑そうに言ったけど

俺が「相談があって」って言うと「しゃーねぇな、焼肉な？」ってニヤリ笑った。

「でー？その香取さんとやらはそんなにカッケーの？」
「すっごい格好良い」
「オレより？」
「ニノとはタイプが違うもん。真逆、真逆」

この色白悪魔も口は悪いけど綺麗な顔だし格好良いとは思うけど、香取さんはまた違って...何て言うんだろう...とにかく男の俺から見てもイイオトコのオーラが凄かった。

「相葉さんも格好良いよ？」
「良いよもー、そーゆーの...」
「ンフフ、まぁ落ち込むなや！」

俺の取り皿に焼けた塩タンを乗せながら、ニノは笑って頬杖をついた。