PRESTO！【ars M.A】 (ページ16)

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16.所謂一つの。ページ16

Aちゃんが飲みすぎないようにちょっと気にして見ながら、俺もあんま飲み過ぎないようにして...

ほら、だって酔っ払うと色々と緩くなっちゃうからさ。

あんまり自分の自制心にそこまで自信持ってないし...酔うと翔ちゃんにまでチューしちゃうらしいし。
しかも覚えても無いし。

危なすぎる...俺。

マスターの作った美味しい料理をつまみながら、Aちゃんと世間話。

ほんのりほっぺが赤くなって、ちょっといつもより陽気になって来てるAちゃんに「もー飲んじゃダメ！」ってオレンジジュース頼んであげた。

「俺、ちょっとトイレ行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃぁい！」

やっぱ、酔って来てるよなー...Aちゃん。

可愛いけど、心配。

すっごい可愛いけど！

そのふにゃーってなってる目尻とか...たまんないけど！
ゆるーってなってる口元とか...食べちゃいたいけど！

ダメだ...Aちゃんのこんな姿、絶対に俺以外の男の前に出させたくない。

本当に食べられちゃうよ！

ダメダメ！Aちゃん、飲み会禁止！

...なんて...

彼氏でも無いのにこんな気持ちになっちゃうなんて俺、結構嫉妬深いのかな。

「相葉くん」
「おっぅ！？何、マスター！ビックリするでしょ！」

用をたしてトイレから出た瞬間、扉の前にマスターが立ってた。

「また可愛い子連れて」
「また...って...」
「また、だろ？」
「また...だけど...さ」

気まずくなって後頭部をガシガシ掻きながら、マスターから顔を逸らす。

『また』だと思われても仕方無いくらい、俺は日替わりかって程にいつも違う女の子と一緒に居たけどさぁ...

「でも相葉くん」
「何...？」
「今回はもしかして、アソビじゃないんじゃない？」
「えっ！？えっ！？」

マスターは可笑しそうに俺を突つく。

「相葉くん、あの子にはお酒進めないし全然ボディタッチもしてないもんなぁ」
「...見ないでよ...」

お客様の様子は見るだろうがー！って言いながら、やっぱりマスターは楽しそう。

「ちょっと前までは人の店でチュッチュしちゃうよーな野郎だったのに」
「見てたの！？」
「だから、お客様の様子は見るって言ってるだろう」
「...覗きだ」

ククッて笑うと俺の肩を抱いて顔を覗き込んで来る。

「とうとう本気の恋か？」

本気の、恋...

そっか、これが本気の恋、だ。

何も答えない俺を見て、マスターがまた笑った。