PRESTO！【ars M.A】 (ページ29)

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29.報告。ページ29

「だからさぁ...ちゃんとさぁ...」
「鬱陶しいな！ハッキリ喋れや！！」

うちに帰ってベッドに寝転んで、すぐにニノに電話をした。

女の子の事、ちゃんとしたよーって報告と...それからちょっと、誰かに愚痴りたくなって...

「結局、そのヒトミ？ってオンナノコの言う通りにしたって事だろ？」
「うん、そう...」
「ってかさ、まさか一人一人に説明して回る気だったなんてオレも思ってなかったわ」
「だってニノもちゃんとしろって言ってたでしょ？」
「いや...早く連絡先消去しろよって思ってただけだけど...」

何だよぉ、じゃあ最初っからそう言ってよ！って思ったけど、何かそんな気力も無くて黙ってしまう。

「ま、そーゆートコが相葉さんの良いトコだと思うけどさ」

ククッって小さく笑ったニノの声が、弱ってる俺の胸にジワって広がる。

「なかなか良い女だなぁ、そのヒトミとやらは。ビッチだけど」
「一言余計だよ、ニノ」
「で？スッキリしたお前が何でこんなに落ち込んでんだ？って話を聞いてやりたいような、このまま電話を切ってしまいたいような複雑な気分の狭間でオレは闘ってんだけど」
「ぜひ、聞いてあげようってゆー優しいニノの勝利を願うよ」

マジかー！今ん所、８割負けてたんだけどなぁ優しいカズくんの方！って、ちょっと甲高い声で受話器の向こう叫んでる。

「まぁ、良いよ、聞いてやるよ」
「ありがと」
「聞かなかったらまた会社の前で待ち伏せされそうだしな」

そう言って、ニノが部屋を移動してるような雑音が入る。

「あ、もしかして寝てたの？」
「いや、寝ては無いけど風呂に入ろうとしてたから洗面所にいたんだよ。さみぃから床暖房に移動した」
「じゃあ今、裸？」
「そうそう、裸だ。だから簡潔に話せよ？オレ、風邪ひく」
「洗面所にまで携帯持ってってんの？」

仕事の連絡も入るからな...って無駄な話すんな！早く本題話せ！って、ニノがワーワー喚いてる。

まぁ、汚い言葉遣いでワーワー言いながらも結局はちゃんと話を聞いてくれるんだ。

やっぱ持つべきものは、友達だ。

「チョコくれ位、言えや！高校生か！」
「高校生の時の方が言えたよ！モテたし、俺！」
「そんな話じゃねぇだろうが！ヘタレが！」

もう、ホント言葉キツイな。

でも...

「香取さんと自分の事、比べたりしてんだろ？どうせ」
「...うん...」
「お前はお前だろ？誰かと比べんな」

良いヤツだな...なんて、本人には言わないけどね。