PRESTO！【ars M.A】 (ページ1)

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1.ねぇ、神様。ページ1

ねぇ、神様。

やっぱ、俺の経験人数に目を瞑る事は出来なかった？

そりゃ、普通の男子よりはちょーっとだけ多いかもしんないけどさぁ。
でも、もっと多い奴だっているって！絶対！
ほら、えっちな男優さんとか！

...それは職業だろって？

もう...意地悪なコト言わないでよ。

神様さぁ...

誕生日の奇跡を起こす魔法は掛けてくれたのかもしんないけど

クリスマスの奇跡は簡単に起こしてくんないんだね。

あっ！まさか、イブだったから！？

一日くらい、オマケしてよ。ケチ。

俺、精一杯の勇気を振り絞って言ったんだよ...？

「Aちゃん、今度休みが合う日があったらさ...」

自転車に跨ったまんま言った俺の言葉に、Aちゃんは少しだけ眉を顰めた。

「...えっと...俺と遊ばない？」

デートのお誘いってこんなに緊張するもんだっけ。
えっちのお誘いは簡単だったのになぁ...。

「雅紀くん...」
「はいっ！」
「誘う相手間違ってるよ？」
「...はい？」

Aちゃんは困ったような笑顔で首を傾げる。

「だって、私、雅紀くんみたいに遊び慣れて無いから...」
「いやっ、遊ぶってそっちのアソぶじゃなくって、あのっ」
「そっち？」
「えっ！？いやっ...あ...」

間違えたー！

誘い文句、完全に間違えたー！

「私なんかよりもっとセクシーで可愛い女の子誘った方が楽しいよ！」
「ちがっ...」
「私なんて『その他大勢は嫌だ』とか言っちゃう堅物女だし」

アハハッてAちゃんは、嫌になるくらい可愛い顔して笑って

俺、お誘い断られてるのにドキドキしちゃってて何だか感情がパニック。

「Aちゃん、そうじゃなくてねっ！じゃなくて...」

じゃなくて...じゃなくって...

「店長！オーナーから電話ですー！」

店内から電話の子機を持ったバイトの男の子がヒョコっと顔を出して、Aちゃんを呼んだ。

「うん、すぐ行きます！あ、雅紀くん」
「はいっ」
「今日はありがとう！本当に助かりました！明日からは服屋の店長さん、頑張ってね！」
「...はい...」

飾りっ気の無い綺麗な手をヒラヒラと振って、Aちゃんはお仕事に戻って行った。

奇跡が起こるって勝手に信じてたクリスマスイブ。

神様は俺に厳しかった。