極楽ハニー 9th【ars K.N】 (ページ2)

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282.過ぎる。ページ2

靴を部屋まで持って行こうとするニノミヤに「靴は玄関」と言い聞かせて、一緒にリビングへ向かう。

リビングに入った彼は、ローテーブルの上に置きっ放しになってた私の食べ終わったサンドイッチの包みとサラダのカップを見て

「A、夕飯これ？」

眉を顰めた。

「一人だといつもこんなモンかなー...」
「まぁ、オレもそーだけどさ。もっと栄養摂らなきゃ成長しないよ？」

どこがだよ、とはあえて言わない。

あれ？

ってゆーか...

「ねぇカズ、夕飯は？帰り、早くない？」
「んー？お断りして帰って来たから。先約があるんですーって言って」

ジャケットを脱ぎながら、ニノミヤが話す。

「お断り...って、大丈夫なの？」
「オレが何の為に今まで必要以上に先生のお付き合いをしてたと思ってんの」
「え？」
「信頼を得て、ここぞって時には簡単に解放して貰えるよーによ」

その甲斐あってオレの信用は抜群だからね！って、今度はシャツを脱ぎながら笑う。

「約束の相手は女か？って訊かれたんだけどさ」
「おっと...」
「すっげぇ惚れてる女です、って言っといた」
「......」

サラリと、こんな事をどーして言えるんだろう。

男前過ぎるでしょう。

「だってさ、早く帰って来たかったんだもん」
「...え？」
「早くAんトコに帰りたいー！って思ったから、帰って来たの」

さっきまで男前だったくせにインナーのＴシャツ一枚になって、何だか見た目まで少年みたいになって

今度はそんな台詞、可愛すぎるでしょう。

「腹減ったな...カップ麺あったよなー」

Ｔシャツ姿のニノミヤが、キッチンにある棚の扉を開く。

「カップ麺、健康に悪いよー？」
「コンビニ飯のAに言われたくないー」
「私はサラダ食べてるから！カツサンドで、お肉も摂取したし！」
「フハハッ！またカツ！ホント、Aはカツ好きだねー」

...カツ好き女子は、女子力的にどうだろう。

『好きな食べ物カツ丼、カツカレー、カツサンド』
...まぁ可愛くは無いな...。

「ねぇ、カズ。何か作ろうか？」
「えっ？でも、うち何もねぇよ？」
「何かあるでしょ」

私もキッチンに行って、冷蔵庫を開く。

冷蔵室に卵
野菜室に玉ねぎ
冷凍庫に少量の鶏肉と残りご飯

「簡単なモンで良い？」
「マジで？良いよ良いよ！やった！」
「じゃあ作っとくから、カズはお風呂でも行ってて？」
「ん、お言葉に甘えてー」

ニノミヤが脱いだ物を持って、リビングを出て行ってから

私は服の袖を捲り上げた。