極楽ハニー【ars K.N】 (ページ8)

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8.仕事の話。ページ8

先生との約束の日、私は早めに仕事を切り上げ帰る支度を始めた。

「センパイ、もう帰んの？」
「うん、帰る」
「ふーん...お疲れ様ー」
「お疲れ様！」

弾んだ気持ちで会社を出る。

しっかりと、この仕事を物にしなきゃいけない。

この先もうちで書いて貰えるように話を持って行ければ...

「頑張らなきゃ」

先生の好きなお酒をネットで調べて、それが希少な物だったから必死で探しオークションで落として手土産として持って来た。

待ち合わせのホテルのレストランへ行き、入り口に立って居たスタッフに「喜多川先生と待ち合わせなんですが...」と言うと「お待ちしておりました。伝言を預かっております」と一枚の紙切れを渡された。

そこには、ホテルのルームナンバー。

「喜多川様はそちらでお待ちしてるとの事です」
「あ...そうですか...」

記されていた部屋へ行き、インターホンを鳴らすと中から先生が「よく来たね」と顔を覗かせ私を部屋の中へ入れる。

他にも誰か居るのかと少し思っていたけど、例えば次回作を書くつもりの出版社の人だとか...

でも私なんか泊まれないような広い綺麗な部屋には、案の定というか予想通りと言うか...先生一人だけだった。

この状況が危ないかもしれないって事は、ウッスラと頭のどこかが警報を鳴らしてた。

だけど、それ以上に『仕事だ』って気持ちが大きくて麻痺していたんだ。

「先生、お土産をお持ちしたんです」
「え？嬉しいね、何かな？」

先生は私からお酒の入った紙袋を受け取り「おぉ、好きなんだよ！よく手に入ったねぇ」と満足そうに笑う。

「せっかくだから、一緒に飲まないかい？」
「...え...？あ、でもお仕事のお話を...」
「美味しい酒なんだ。飲みながら、リラックスして話そう」
「...はい...」

勧められるがままに、強くも無いお酒を流し込み

その内、頭がボーっとして来て額に汗が滲んで来た。

「仕事の話をしようか」
「...はい...」

上手く考えられない頭で、必死になって言葉を探す。

「...今後も、うちとしては先生とお仕事をしたいと思っていまして...」
「そうだね、君はとっても魅力的だし考えても良いかもしれないなぁ」
「考えて頂けますか...？」
「君次第だけどね？」

私、次第...？

「綺麗な脚だね...」

先生は私が腰掛けるソファの下に座り、膝丈のフレアスカートから出た脚を撫で履いていたパンプスをスルリと脱がした。