極楽ハニー【ars K.N】 (ページ23)

今日:12 hit、昨日:58 hit、合計:1,945,019 hit

23.モテ考察。ページ23

街中が赤と緑に飾られて、世間ではクリスマスだと騒ぎ出した頃

「二宮さんって、クリスマスの御予定は？」
「ん？クリスマス？」

私の背後で始まる、ニノミヤ争奪戦。

入れ代わり立ち代わり、女の子がニノミヤのクリスマスの予定を訊こうとやって来る。
どこの部署なんだか分からない子もやって来る。

でも決まってニノミヤは「仕事！」って笑って応えて、「夜は？」って質問にも「年末は忙しいから早く帰って寝たいんだよねぇ」って微笑むんだ。

「ニノミヤ、本当は何か予定あるんじゃないの？」
「え？」
「クリスマス」

今日だけでも２人目の女の子のお誘いを断ったニノミヤに声を掛けると、首だけを振り向かせてニヤっと笑う。

「ねぇわ。仕事で忙しいから早く帰って寝たいの。平日ど真ん中なんだし」
「クリスマス、大切じゃないの？」
「んー...去年までは２４日は絶対はずせない予定があったんだけど...今年は無くなったからもう普通の日」

キリシタンじゃねぇし！ってケラっと笑うとニノミヤはまた自分のＰＣに目を向けた。

...ってか、今サラっと去年までは２４日が...とか言ってたけど...

それは、何！？
去年までは特別な人が居たの！？

え？でもそれが無くなったって事は...

「センパイ、何ボーっとしてんの？」
「えっ！？」
「そんなにオレのクリスマスが気になっちゃう感じ？」
「ちっ...！違うわ！断られてる女の子達が可哀想になって来ちゃって...」

これは嘘じゃない。

結構勇気出してニノミヤを誘いに来てるはずだもん。

「可哀想かな。クリスマス一緒に過ごしたりしたら勘違いさせちゃうでしょ？変な期待させるよりずっと良いと思うんだけど」
「...まぁ...それはそうかもしれないけど...」
「だからオレ、センパイが思ってる程節操無しじゃないんだってば」

片方の頬をキュっと上げて、ニノミヤが笑う。

...その顔も好き...

もう、嫌になる。

目が離せなくなる自分が、恥ずかしい。

「モテちゃって困るよね！神様はオレにどんだけ贔屓したんだって話だよね！」
「...自分で言う？そーゆーコト」
「あえて言うなら、身長だけは与えてくんなかったな...180欲しかったわ。したら、オレ無敵なのに」
「ニノミヤが180...」

椅子から立ち上って伸びをしながら「何だよ」って言うニノミヤに「...やっぱそれ何回想像しても気持ち悪いんだけど...」って言うと

「うっせ！」

なんて、可愛く笑う。

ズルい。

...ホント、神様はコイツを贔屓し過ぎだ。