21.内緒の内情。 ページ21
頭がクラクラして来る。
ヤッちゃったんだろうなってのは、正直あのゴミ箱見た時に覚悟してた。
だけど、ニノミヤ本人がそーゆー事を言うと『ワンナイトラブ確定ー！』なワケで...
相手は好きな人なのに、こうやって向かい合ってるだけで実はずっと胸が早鐘を打ってる程に好きな人なのに
...何も覚えて無いって事もショックなワケで...
何も言えず、俯いてしまう。
その時、私の腕を掴んでたニノミヤの手が離れた。
離れた手の行方を目で追ってると、ニノミヤは自分が着てる白いワイシャツのボタンに指を掛け
パチンパチン、とボタンを外していく。
ライトグレーのジャケットの下の胸元が、あっと言う間にはだけた。
「なっ...何してんのっ！？」
「え？」
「目のやり場に困るから！」
「何言ってんの？もっとオレの秘密な部分見たくせに」
ひ...秘密な部分！？
どこよっ！それ、どこなのよっ！
「見て...みっ、見てないっ！！」
「見ただけじゃねぇよ？美味しそうに舐...」
「いやぁーっ！！！知らない！知らない！！知らないーっ！！！」
「声、でかいって。誰か来ちゃうよ？」
小首を傾げたニノミヤが、はだけた自分の胸元を指差す。
「じゃ、コレも覚えてない？」
コレ、と指されたのは真っ白な肌にポツンと浮かんだ赤い痕。
それが何かだなんて、子供じゃないんだからすぐ解る。
「...ニノミヤが自分で付けた...とか」
「こんなトコに自分でキスマーク付けれたら、世界ビックリ人間だろうが」
微妙に古臭い言葉を吐いて、ニノミヤはボタンを留め始めた。
彼の、フゥ...って小さな溜息に、ズキッと胸が痛む。
そうだ、ニノミヤは女の子にモテる。
きっと普通に一晩限りの身体の関係なんて、簡単に結べて
だけどキスマークなんて付けられたら(覚えてないけど)、きっときっと面倒で...
きっときっと、きっとニノミヤは私とこんな風になっちゃった事、後悔してる。
「ニノミヤ...あの...」
「何？」
「無かった事にしてくれて良いから...」
「...え？」
俯いてボタンを留めてたニノミヤが、顔を上げた。
「ほら、その方が良いでしょ！仕事で気まずいのも嫌だし、私、覚えてないし！」
「...センパイは無かったコト、の方が良い？」
「そうだね...」
虚しいもん...
好きな人と、こんな風に関係持っちゃったなんて無かった事にしちゃいたい。
ニノミヤに、面倒だとも思われたくない。
「ん、了解」
自分が申し出たくせに、彼の声に心が軋んだ。
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2014年5月13日 20時
