空想男子アディクション【ars】 (ページ1)

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■ハニートーク【N】ページ1

「そろそろ、解約すればぁ？」

金曜の夜、ニノミヤの部屋で雑誌を読んでる私に

ニノミヤが文庫本を読みながら、言った。

ソファに座る私の足元に座って、ソファを背もたれにしてる。

「解約？」
「んー。解約」
「何を？」

何でしょ、ってニノミヤはククッと笑って振り向きもせず本から目を離さない。

つむじ、丸見え。

「ねぇ話が中途半端で気になるんだけど。解約って何？」
「当ててみー？」
「はい？」
「さて、問題です。何の解約でしょーか！」
「...問題ザックリし過ぎでしょ...」

解約...？

スマホ？いや、こないだ機種変したばっか。

花嫁修業！って通い始めた料理教室？
でも和食ばっかだった私の料理に洋食が増えた！ってニノミヤも喜んでたし...

あ！運動不足を気にして入会金0円キャンペーンの時に入ったスポーツジム！
これだな。
なかなか行けないから、私もやっぱり辞めとこうかなーって思ってたトコだった。

「分かったよー！ジムでしょ！」

自信満々に言うと、ニノミヤが身体は前に向けたまんまで首を真上に向けて仰け反るように私を見た。

何なの！この角度！

普通に振り返れば良くない！？
何で首をグインって上に向けた！？
計算か！？計算か！！

私が胸キュンと戦いながら平然とした顔を作ってたら、ニノミヤがハッて短く笑った。

元々垂れ気味の眉毛を下げて困ってるみたいに見えるけど、違うな。これ。
この表情は、よく見る。

「ブッブー、不正解ー。はい、ざんねーん」

ほら。
これは、意地悪を言う時の顔。

そんな生意気な顔しても、私はドキドキして喜んでるだけだって分かってんのかな。

あ......分かってそうだな...あぁ、嫌だ。
全部、見透かされてそうで嫌だ。

私が頭を抱えたら「え？そんなにハズレたの悔しいの？」って、ニノミヤの腕が伸びて来て

私の頬に触れた。

顔を上げたら、膝立ちになったニノミヤが身体ごとこっち見て「ん？」って小首を傾げる。

「や...別に悔しいって訳じゃ無いけど...ね？」
「正解、教えてやろっか？」
「うん」
「じゃ、それなりにオネダリしてくんなきゃ」
「......あ、なら結構です」
「オレのハニーは照れ屋さんだなぁ」

ンフフーってニノミヤが、ギュッと抱き付いて来た。
子供みたいで可愛くて、思わず頭をよしよし。

そしたら、ニノミヤが私の後頭部を思いっきり抱いて引き寄せ

全然可愛くない、キスをする。

もう...

子供と大人の顔がヒョコヒョコ入れ替わるから、気持ちが忙しいってば。