明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ25)

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235.荒療治。ページ25

家までの道では、大阪のお店の事とか美味しい物なんかの話をした。

車なんか使わなくっても遠くない私の家。

やっぱり、あっとゆー間に到着する。

「ありがとうございました」
「いえいえー」

マンションの前に車を停めた櫻井さんが、首をコキコキっと鳴らした。

「櫻井さん」
「ん？」
「...静香さんとは、仲良しですか？」
「えっ！？ハハッ、何だよそれー」

照れてるのか、眉毛をキュっと下げて困ったように笑う。

「凄くお似合いだから、どうなのかなー？って気になったんですよー」

テンション上がっちゃってるみたいに装って、荒療治。

さっき、静香さんの話を櫻井さんの口から聞いた時に胸が痛んだのは、きっと傷によく効く薬を塗り込んだからなんだ。

「遠距離だからなぁ...」
「...え？」
「アイツも新しい仕事が忙しいみたいで、電話すらろくに出来なくてさ」
「そう...なんですか」
「『俺と仕事、どっちが大切なの！？』とか面倒な事言っちゃいそうだったし」
「櫻井さんが？」
「そ、櫻井さんが。あ、言ってないよ？言いそうになったってだけで」

俺、女々しいよなー！って笑うと、「Aはどうなの？」ってハンドルに置いた腕に頬を付けるように首を傾げる。

すっごい格好良い。写メりたい。

「私...ですか？」
「俺さ、Aは絶対に雅紀のコトが好きなんだと思ってんだけど」
「あー...」

そう思われてんだろうなってのは、薄々感じてました。

「違った？」
「残念ながら、違います。相葉くんはすっごく好きだけど友達です」

ドサっと音がする位、シートに凭れこんだ櫻井さんが「そっかー...」って呟く。

「櫻井さん、こっちに戻って来てる間には静香さんに会えるんですか？」
「うん、今から行くよ。静香んトコ」
「良かったですね！」
「ハハッ、確かに今会っておけば『俺と仕事どっちが！』って言わずに済みそうだわ」

胸の傷に塗りたくった薬はジワジワと効いてくれたのか、こんな話をしててもちゃんと笑えた。

でも笑ってる私とは対照的に、櫻井さんの顔は何故かどんどん訝しげになる。

「...Aって、もしかして彼氏、居る？」
「え...？何でですか...？」
「いや...」

櫻井さんの視線が私を通り過ぎて、その後ろを見てる事に気付いて振り返ると

バンッ！！と大きな音。

そして窓に叩きつけるようにされた両方の掌の真ん中、ガラスに張り付くように車内を覗き込んでる

怖い顔した二宮くんと、目が合った。