明日の天気の話をしよう 7th【ars】 (ページ20)

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230.出勤。ページ20

その日はランディナ勤務で、お昼休みに賄いを食べた後にちょっとお昼寝をしてから

ディナーが始まるちょっと前に、ホールに出た。

「おはよー、Aちゃん」

そこに、相葉くんが出勤して来た。

「あ、おはよ。寒くなって来たよねぇ」
「寒い！俺、もうコレ出しちゃった」

そう言って、自分が着てるデニムのモッズコートの胸元を指差す。

「私も今日、厚手の上着にしたよー。もう冬だね」
「そだね」

相葉くんが、ちょっと背後を気にするような素振りをした。

どうしたのかな？って思ったと同時に、「おはようございます」ってミワちゃんが出勤して来て

「何してたの？」って相葉くんが彼女に訊く。

首元がストールでモコモコになってるミワちゃんが「可愛いワンコを散歩させてる人が居たから、撫でさせて貰ってました！」なんて言うから、まさか二宮くん！？って思ったけど

それよりも、何よりも！

「もしかして、二人一緒に来た？」

だって、相葉くんが『何してたの？』って訊くって事はここまで一緒に来たからだよね！？
一緒に来たのに、ミワちゃんが入って来るのがちょっと遅かったから『何してたの？』なんだよね！？

「うん、一緒に来たよ」

相葉くんが頷いて、ミワちゃんをチラっと見る。

「あっ...！あのね、Aさんっ、違うんですっ！ラーメンのお礼に、私の知ってるお店でランチして来ただけですよっ！？」

そのミワちゃんは、やっぱりアワアワしてる。

「すっごい美味しかったよ！Aちゃんも好きなんじゃないかなー」
「そうなんだー。良いなぁ」
「Aちゃんも行って来たら良いじゃん。ほら、ね？フフッ」
「......何...ですか...」

相葉くんの目が、半月型になって

「んー？別にぃ？」なんて言ってる口は、無理やり一文字にしようとしてるのがバレバレ。

もう、これ、絶対色々知ってるヤツじゃーん...

筒抜けってヤツじゃーん...

幼馴染み仲良すぎるってヤツじゃーん...

オシャベリカズナリじゃーん...

もういっそのコト、この中途半端な状態をどんなテンションで過ごせば良いのか相葉くんに相談しようかしら...。

「ミワちゃん、そろそろ着替えよっか」
「あ...はい！」
「さーて今日も頑張ろー！眠たーい！」

もうコートを脱ぎながら歩いてった相葉くんの後ろをついて行くようにしてたミワちゃんが、途中でクルっと振り返り

真っ赤な顔で、恥ずかしそうにニッコリ笑って

また彼の後ろをついてった。