217.何を知ってるの。 ページ7
私はその後すぐにロッカールームに着替えに行って
制服になってホールに戻ると、もうミワちゃんは居なかった。
「ミワちゃん、帰った？」
「うん。これから友達と約束あるんだってー」
今日の予約を確認してる相葉くんが、ノートから目を離さずに応える。
「ミワちゃんと三十四行く日決まった？」
「うん、一緒にランディナで上がる日があったから。その日にしたよ」
「そっかー。フフッ」
「何、笑ってんの」
視線だけを私に向けた彼の右頬が上がった。
「Aちゃん、ミワちゃんと俺と三人で上がれる日無いとかちょー適当に言ったでしょ」
「ん？いやぁ、ちょっとシフト分かんなくってさー」
「フフッ。Aちゃん、さっきからずっと顔が笑ってるんだってば」
「元々こーゆー顔じゃなかったっけ？恵比須顔ってゆーんだっけ、縁起良いでしょ？」
ニヤニヤ言う私に相葉くんが「御利益ありそう」なんて言うから、「構わんよ、拝みたまえ」って返すと彼は両手を合わせて「ナムナム...」って本当に拝み始めた。
「そうれはそうと、Aちゃんさぁ」
しっかり目を閉じて拝んでたと思ったら、突然パチっと開いた目と目が合う。
「うん、何？」
その目が、キュウっとかまぼこ型になった。
「最近、ニノとは会った？」
ハッ...！と息を飲んでしまった私を見たかまぼこ型が更に細くなる。
何っ！？なになになに！？
何を知ってるの！？
何か知ってるの！？
「まっ...まぁ、同じマンションだからね！？たまにね、たまぁにエレベーターで会ったり！？するかな！？」
...しまったー！動揺が全部出た！！
「ああああ相葉くんの方が会ってるんじゃない！？」
噛んだー！！
もう、ポンコツ！！
「うん、昨日も飲みに行ってた。春になったらお互い社会人だし今みたいには遊べないかもなーって思ってさ」
「あ...そう、だね」
「俺は今とそんなに変わんないと思うんだけど。ニノ、きっと忙しくなるだろうし」
「あぁ...二代目だしね、大変だろうな...」
「心配？」
「えっ、えぇっ！？」
相葉くんがアハッて笑って、私がアワアワしてると他のスタッフもレジ前に集まり始めた。
社員さんが休みの今日は、相葉くんが連絡事項を書いたノートを見ながら朝礼を進める。
櫻井さんはファイルだったな...なんて、ボンヤリ思い出したけど前程に胸が痛んだりはしない。
時間が解決するってのはこーゆーコト？なんて思ったけど
何かそれもちょっと違うのかも、とも思った。
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年10月23日 16時
