明日の天気の話をしよう 5th【ars】 (ページ32)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:945,154 hit

172.美味しい物。ページ32

櫻井さんが桜から去って、暫く経った頃

ランディナ終わりで相葉くんに「三十四、行こ！」って誘われた。

そう言えば最近行ってなかった。
ラーメンも食べたいけど、智さんにも会いたい。

「おーちゃん、お疲れー！」
「こんばんはー」

二人で店の引き戸を開けて入って行くと、何人かのお客さんの相手をしてた智さんが「そこ、座っといて」ってニコっと微笑んだ。

相変わらず、癒し系。
笑うだけでマイナスイオン放出。

「いらっしゃい、二人とも久し振りだね」

智さんがお水を持って来てくれて、私も相葉くんも何だかヘラヘラしてしまう。

「俺は、ラーメン大盛りとチャーハンてんこ盛り！」
「私はラーメンと鮭おむすび、お願いします」

「了解、ちょっと待ってねぇ」って智さんは、調理にかかった。

暫くして出される、美味しいラーメンとおむすび。
食べると、どこか安心する味。

隣では相葉くんがモリモリ食べてる。

「相葉くんって結構、量食べるよね」
「ん？そうなのかな。確かにニノには気持ち悪いくらい食うって言われる」
「何で太らないの？」
「食っても食っても太らないんだよねー。太りたいんだけど。太れる人が羨ましい」
「今、全女子を敵に回したよ...」
「うっそ！」

そんな話をしながら食べて、二人とも食べ終わった頃に手が空いたのか智さんが私達の前に来て無くなってたお水をコップに注いでくれた。

「あ、ありがとうございます」
「おーちゃん、俺も！」

相葉くんが空っぽになってるコップを智さんに突き出す。

はいはい、って笑いながら相葉くんのコップにもお水を注ぐ。

「あ、Aちゃん。プリン食べる？また作り過ぎちゃって」
「え！食べたいです！」
「じゃ、ちょっと待っててね」

プリン？って相葉くんが不思議そうにしてる。
微笑んだ彼が、冷蔵庫から手作りのプリンを二つ持って戻って来た。

「どうぞー。相葉ちゃんも食べて」
「やったー！」

プリンが入ってるのは、きっとこないだ一緒に陶芸に行った時に智さんが作ってた『プリン専用』の器。

木の匙でプリンを掬って、口に運ぶ。

こないだより、美味しくなってる気がする。

「どう？」
「美味しいです！智さん、プリン研究続けてるんですね」
「美味しいモノは人を笑顔にするでしょ？」

智さんが、カウンターに手をついて少しだけ身体をこっちに乗り出すようにした。

「元気、出た？」

優しく笑う口元に犬歯が、チラっと見えた。