明日の天気の話をしよう 5th【ars】 (ページ3)

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143.CRYBABY。ページ3

それから少しお互い、何も喋らなくて

大通りを車が走る音だけが、聴こえる。

「ホント、ごめん...」
「......相葉くん...」
「Aちゃんと翔ちゃんを引っ付けて、俺も！とか思ってたのにさ...結局何も出来なかった...」

立ち上がった相葉くんが、また深く頭を下げる。

「ごめんなさい。俺、最低なコトした。それに...二人が付き合った事も、言えなかった...ごめん」

慌てて私も立ち上がった。

「そんな...っ謝らないで！あの...利用だなんて...そんな風に思わないよ...」
「...え...」
「だって、相葉くんが色々と気を使ってくれたの...嬉しかったもん。それが例え自分が静香さんと上手く行く為だったとしても、私達は元々お互い幸せになりたいねって思ってたでしょ？」
「......」
「私は相葉くんの応援が、嘘だったとは思えないよ...？」

あんなに、協力してくれたり一緒に喜んだりしてくれたんだもん。
相葉くんが居たから、櫻井さんに恋してるのが余計に楽しいと思えた。

「私もごめん、相葉くん」
「...Aちゃん...？」
「一人で抱えさせちゃって、ごめんね。もう！静香さんが櫻井さん好きなコト言ってくれたら一緒に作戦練ったのに！」
「......Aちゃんー...」

相葉くんが私に抱き着いて来た。
子供みたい。

「ごめんねぇ...」
「うん。フフッ、うん」
「うぅぅー...」
「泣かないの！」

ポンポンって、背中を叩いたらヘヘッて笑って私から離れる。

「Aちゃん、強いね...」

鼻をグズって啜った相葉くんに言われて、自分が全然泣いてない事に気付いた。

でも、コンビニから胸はずっと痛くて苦しくて

静香さんから告白したって聞いた後からは、モヤモヤが膨らんでちょっと気持ち悪い位。

「多分...まだ、実感してないんだと思う...」
「実感？」
「うん...。...信じたくないって言うか、どっかでまだ『もしかして私の勘違いかも』なんて思っちゃってるのかも」
「...そっか...」

私はきっと、諦めが悪くて

信じるのが嫌で

現実を見たくないって思ってるから、涙すら出ないんだ。
実感、出来ないんだ。
したくないんだ。

強くなんて、無い。

真っ赤な目の相葉くんを見上げると、彼は「あんまり見ないで」って笑って顔を逸らす。

「相葉くん、泣き虫なんだね」
「...ホントはね」
「良いと思うよ」
「男なのに？」
「無理して笑わなくって良いよ」
「...それ、言ってくれたの二人目だ」

彼が、ちょっと懐かしそうに目を細めた。