19.その会話の理由。 ページ19
「雅紀と友達なの？」
視線はクロに向いたまま、二宮さんが言う。
「え？私？」
「ンフフッ、他に誰がいんのよ」
「あ...ですよね」
チラッと二宮さんを見たら、こっち見てた。
蒼白だった顔が、今は穏やかに微笑んでて何だか私まで「良かったねぇ...」って安心する。
「相葉くんとは、バイト先が同じで」
「あぁ、桜で働いてんだ」
「はい」
「敬語いらないってば」
「え？」
よいしょ、ってクロを抱き直して「前も言わなかったっけ」って少し唇を尖らせる感じで話す。
「アンタ、いくつ？」
「え...ハタチです...。えっと、二宮さんは大学四年？」
「うん。にじゅーいち。ってか、さん付けも何か気持ち悪い。一個違いじゃん」
クロがクゥーって小さく鳴いて、彼は「どったのー？腹減ったかー？」って優しく囁いて
「帰ったらご飯にしよーなぁ」
また、小さな頭に鼻を擦り付けた。
クロも目を細めて気持ち良さそう。
この2人のコミュニケーションなのかな、これ。
2人の世界過ぎて、何も言えない。
そのまま、私達は特に会話も無く歩き続ける。
...何か、気まずい...。
ほら、同じマンションだから「私、こっちだからー！またねー！」って離れることもできないし。
何か...話題...共通点...
無いっ！
驚く！
全く無いっ！
共通点どころか、そう言えば私、この人の事を何も知らない！
「えーっとぉ...良いお天気ですねぇ！ねっ？」
「え？」
「あ...今日、ポカポカしてて良い天気だなぁって...」
とりあえず空を見上げて、天気の話でもしてみた。
「あー、オレとの共通の話題を見付けられなかった感じ？」
「えっ！？」
「人はね、話題に困ったら天気や季節の話をすんの。当たり障り無いから」
...見透かされた...
「例えば、昨日のあのテレビ番組観た？とかだと趣味嗜好が出ちゃうでしょ？一瞬で会話が終了する可能性がある」
「...うん」
「で、政治経済の話題だと思想が出るから討論になっちゃうかもだし、そもそもニュースな話にはついてけない奴もいるしね」
「...うん」
クロの頭を撫でて「ね？」ってクロに同意を求めてる。
「あ、ちなみにオレは余裕でついてけるけどね」
クフッ、って肩を上げて笑うその仕草はえらく可愛らしいんだけど...
「今、コイツウザッて思ったでしょ」
「...あっ！？やっ...いやー...アハハ」
「ンフフ、Aって正直ー」
「えっ！？」
「え、Aでしょ？違った？」
違わないけども。
違わないけども、驚いた。
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まめなり(プロフ) - 図々しいかもしれませんが続編を検討していただけると何よりも嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました。長文失礼いたしました。 (2017年7月18日 10時) (
レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - 最後Nくんは実家に帰ったのかなぁとかAくんとあの子はどうなったのかなぁとかOくんはあの子とどうなったのかなぁとかSくん結婚しないかなぁとかMくんもあの子とどうなったのかなぁとか。そして何より1番気になるのは主人公のカフェはどうなったのかなぁと。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - が好きです。ロマドーの雰囲気もそこで暮らしている人々も。(個人的には最後結ばれるのが担当様だったのも嬉しかったです笑) 今まで色々reiさんのお話を読ませて貰っていましたが、このロマドーも相変わらず素敵なお話だと思いました。そこで続編のお願いを…笑。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - こんにちは！どこに書けばいいのかわからなかったのでココに。私はロマドーの2章が始まったくらいで受験勉強のために占ツクから離れた者です。受験も終わり久々に占ツクを訪ねてみるとロマドーが完結していて思わず読んでしまいました。率直に言ってホントにロマドー (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いきなりすいません！君の名は。って話ありますね笑 (2016年10月27日 14時) (レス) id: 55ecfc4463 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年1月27日 19時
