16.訪問のワケ。 ページ16
「え、カズ...どした？」
潤さんが座ったまま、派出所のドアを開いて肩で息をしてる二宮さんを見た。
「潤くん...どうしよ...」
額に浮かんだ汗を手の甲で拭い、その手を裏向け掌で口元を覆う。
ギュっと顰められた眉と、少し潤んだ目が痛々しい。
「とりあえず落ち着け、カズ。何があったのか、ゆっくり説明してみな？」
立ち上がった潤さんが、二宮さんに近寄ってその肩に優しく手を乗せる。
二宮さんも静かに何度か頷いて、口元の手を下ろした。
何だか、2人は『町のおまわりさんと住人』ってだけではないのかもしれない、と思わせる親しい雰囲気を感じる。
「で？何があった？」
「...消えたんだ...」
「何が？あ、定期入れ？定期入れなら今、届いたけど...」
「オレ、ちょっとコンビニでガム買おうとして...店の外に繋いでて...でも、いつもは大丈夫だったんだよ！？いっつも、そうやって買い物してたんだよ！？」
二宮さんが、しゃがみ込んだ。
「カズ...もしかして...」
「首輪...金具が緩んでたみたい...で...」
「マジか...」
「これだけ...残ってた...」
弱々しく突き出された腕には、ぎゅっと握り締められたリード。
初めて会った日に、彼の手首に引っ掛かってた物。
あの日パーカーの中で抱かれてたワンコの首輪に繋がってた、あのリード。
...え？って事は...
「えっ！？あの子、居なくなっちゃったの！？」
しまった！と思った時には、もう既に遅い。
私は、思ったことをそのまんま口に出してしまってた。
しかも大声で。
「...アンタ...何してんの？」
たった今、私が居ることに気付いたっぽい二宮さんがしゃがんだまま椅子に座ってる私を見上げた。
「え...あ...落とし物を届けに来て...ごめんなさい、聞くつもりは無かったんだけど...」
「ねぇ...オレんちの子、見掛けなかった...？」
今日歩いた道を思い出してみる。
でも、あの白いチワワを見た覚えは無い。
リードも着けずにウロウロしてるワンコなんて見たら絶対に、記憶に残るはず。
「ごめんなさい...見てない...」
小さく首を振ると、二宮さんは溜息を吐き出しながら頭を両腕で抱え込んだ。
「どうしよ...オレのせいだ...」
「カズ...」
「...どうしよ...」
「俺も一緒に探すから！ほら、カズ立って。お前がしっかりしなきゃ」
二宮さんの腕を、潤さんが引っ張って立ち上がらせようとした時
「松潤ー！」
また誰か、派出所に入って来た。
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まめなり(プロフ) - 図々しいかもしれませんが続編を検討していただけると何よりも嬉しいです。最後までお読み頂きありがとうございました。長文失礼いたしました。 (2017年7月18日 10時) (
レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - 最後Nくんは実家に帰ったのかなぁとかAくんとあの子はどうなったのかなぁとかOくんはあの子とどうなったのかなぁとかSくん結婚しないかなぁとかMくんもあの子とどうなったのかなぁとか。そして何より1番気になるのは主人公のカフェはどうなったのかなぁと。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - が好きです。ロマドーの雰囲気もそこで暮らしている人々も。(個人的には最後結ばれるのが担当様だったのも嬉しかったです笑) 今まで色々reiさんのお話を読ませて貰っていましたが、このロマドーも相変わらず素敵なお話だと思いました。そこで続編のお願いを…笑。 (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
まめなり(プロフ) - こんにちは！どこに書けばいいのかわからなかったのでココに。私はロマドーの2章が始まったくらいで受験勉強のために占ツクから離れた者です。受験も終わり久々に占ツクを訪ねてみるとロマドーが完結していて思わず読んでしまいました。率直に言ってホントにロマドー (2017年7月18日 10時) (レス) id: ba375aaf37 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - いきなりすいません！君の名は。って話ありますね笑 (2016年10月27日 14時) (レス) id: 55ecfc4463 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2015年1月27日 19時
