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「ニノって、ホント操縦上手いよねー」
ショウちゃんが、のんびりした口調で話す。
「オレの辞書に『下手』の文字はねぇんだよ」
「何でも上手いの？」
「ナンでも上手いの」
「スーケーベー！！」
オレを指差して、ゲラゲラ笑う。
そんなショウちゃんが「なぁ、ニノ」って、突然静かに呟いた。
「んー？何よ」
「...頑張ったな」
「...は？何それ」
「寂しくなるな」
何も言わずに、チラっとショウちゃんを見て
またすぐに前を見た。
何も言わなかったんじゃなくって、何も言えなかったんだ。
「...居なくなってせいせいしてるよ。あんなうるせぇヤツ」
「マサキとニノ、子供の頃からずーっと一緒だったんだろ？」
「ガキじゃねぇんだから、連れが一人居なくなったくらいで何も思わねぇって」
「ホンット、お前は...別にそこ、強がる必要無いんじゃない？」
「......うっせ」
空が橙色に染まって行く。
人間界の夕焼けと同じ色。
「オレはアイツが笑ってんなら、それで良いんだよ」
それが、魔法界じゃなくても
もう、会う事が無くなっても
「いや...ま、どうでも良いんだけどな！フハハッ！」
別れ際のマサキの顔で、オレの判断は間違って無かったって思えたんだから。
「おっ！？」
「甘えても良いんだぞー？」
「やめろや！」
ショウちゃんが、グシャグシャとオレの頭を撫で回す。
クスクス笑いながら、撫で回す。
「ほら、ニノ。これ、見て」
「...あ...」
人間界を見る事が出来る、手のひらサイズの水晶をショウちゃんがオレの前に差し出した。
そこに映ってるのは、ニンゲンになってお嬢さんと仲良さそうに街を歩いてるマサキの姿。
ほら。
オレ、間違って無かった。
「ま、会えなくてもこっちからはこうやっていつでもマサキの様子は見れるもんね。心は傍に居るわーって感じ？」
「ンフフ。それ、キモイでしょ」
「マサキ、幸せそうだね」
「...あぁ」
幸せそう過ぎて、胸糞悪いわ。
オレだって可愛いオンナノコと幸せになりたいんですけど！
絨毯にオトコ乗っけてる場合じゃないんですけど！
「ちょっとショウちゃん、降りてくんない？」
「はっ！？ここ、高度何メートルだと思ってんの！？」
「箒出せや、箒で飛べや」
「俺、箒持って無いんだけど！」
「魔法使いなんだからどーにかなるっしょ？」
西日がクソ眩しいのも人間界と同じ。
オレは眩しさに片目を瞑って、笑った。
・・・『ソーサラーサーカス』END・・・
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2014年12月5日 15時
