い ページ24
「どうして、それ...知ってるの...」
「...ニノさんが、こないだ教えてくれた」
「そ...っか...」
マサキが俯いてしまう。
マサキの笑顔を曇らせてしまうのが、嫌だったのに。
「大丈夫！ちゃんと私、最後のお願い事するから！ね？マサキは魔法界で自由に...なれるから、安心して？」
「...Aちゃん...」
「ご飯食べに行こう！何が良い？魔法界では食べられない物が良いよね！」
ギュっとマサキの掌を握り返して、笑って見せる。
私達は、魔法界には無いってゆーパスタをイタリアンのお店に食べに行って
少しだけお酒を飲んだ。
食事の間は、願い事の話はせずにこれまでの事を思い出していっぱい喋っていっぱい笑った。
店を出て、川沿いの舗装されてる道を歩く。
そこも綺麗にライティングされてて、ビー玉みたいなマサキの目はやっぱりその光を全部集めてしまう。
何となく帰る気になれなくて、私達はそこでまたたくさん話した。
「マサキ、今までありがとうね」
「Aちゃん...」
「何かさ、最初はホント怪しくって何なの！って思ったけど...うん、楽しかった」
ちゃんと、伝えたい。
こんな馬鹿みたいなコト、信じる事が出来たのは相手がマサキだったから。
たった一ヶ月だけど、こんな恋が出来た私は幸せなんだって
幸せなんだから...って、自分に言い聞かせて
「楽しかったよ、マサキ」
笑えてるかな...私、笑えてたら良いな...
「Aちゃん...僕、別に良いよ」
「...え？」
「またランプの中に戻されても良い」
「...何言ってるの！？駄目だよ！」
「願い事を叶えた瞬間に僕は消えちゃうんだ。だったら、叶えずに最後の一秒まで一緒に居たい」
マサキが、ふわっと私の身体を抱き寄せる。
「僕...どうして魔法使いなんだろ...」
耳元でスンと鼻を啜る音が聴こえた。
「...マサキ、泣いてるの？」
「...泣いてないよ」
「泣き虫」
「Aちゃんもでしょ」
クスクス笑うマサキの声は、涙声。
ホント、涙腺弱すぎるんだから。お互い様だけど。
「マサキが人間だったら良かったのにね...」
言ってから、何だこの台詞...って思う。
こんな漫画みたいなフザけた台詞を本気で、ホンットの本気で口にする日が来るなんて思っても無かったよ。
...人間だったら...
「あ...っ！ねぇ！」
「ん？何..」
「願い事、決めた！」
マサキから身体を離して、腕時計を見る。
まだ12時までには、数分ある。
「願い事は『マサキを、人間にして』」
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2014年12月5日 15時
