五十九 ページ9
総悟くんも帰り、病室は静けさを取り戻す。
先程の出来事はきっと誤魔化せていなかったに違いないが、あれ以上問いただしてくることはなかった。こっちは帰るまで気が気じゃなかった。
やっと下ろせた肩にホッと息を吐く。
とりあえず饅頭を口にする。甘過ぎず甘くなさ過ぎず丁度いいそれは時期になくなった。空になった箱を片しながら溜息を一つ。
総悟くんが帰れば蓮がまたきてくれるんじゃないかという、少女漫画的な期待をしていだがそんなことになる訳もなく。いやなったところで主人公みたく恋に落ちるとかベタなことは無いのだが。
__にしても本当に暇。
お昼ご飯を平らげれば少し前にザキちゃんがくれたジャンプを読んでみる。台詞を覚えてしまったくらい読み返したもんだからすぐに飽きてしまい、元の場所ではなくゴミ箱という新しい家にぶち込んだ。
『…鴨さん、か』
伊東の名前には覚えがあった。
入隊面接をした頃から他の入隊希望者よりも頭一つ、いや二つくらい飛び抜けていた。頭の良さは真選組一と言っても過言ではない。それを活かし今は真選組の参謀という地位についている彼
___伊東鴨太郎。
信じられない訳ではないが気をつける意味が分からない。鴨さんは真選組の為に凄く働いてくれてるし、近藤さんが先生と呼ぶくらい信頼を置いてる人。そんな人が何かをするなんて私には思えなかった。
そして何よりも私がそうだと思いたくなかったのだ。
あの人は誰よりも優しい。例えるなら十四郎ちゃんみたいな、ちょっと誤解されちゃう優しい人。本人に言えば一緒にするなと怒られてしまいそうだが。
そんな人が何かを考えるなんてありえないと思った。
見上げた空は青が消え真っ黒な雲で覆い尽くされていた。
__まるでこの先のことを表してるようで気分が悪くなった。
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今作も順位を頂きまして。嬉しい限りです!
評価やお気に入り登録もありがとうございます。
書き方を模索中のあまり、所々で文章の感じが違うことお詫び申し上げます。
もっと良い文章が綴れるよう精進いたしますので、今後もよろしくお願い致します。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年9月30日 9時