五十六 ページ6
『暇だ』
病院に戻ってきてやっと三日が過ぎ、入院してからは五日目となっていた。傷の具合は大分良くなったが完全には塞がっていないらしいがそろそろ退院できるらしい。
だが同じ日に足を打たれた十四郎ちゃんはバリバリ仕事していると昨日見舞いに来たザキちゃんから聞いた。正直納得がいかない。
男女の差か、私がひ弱なだけなのか。どちらの理由にせよ納得がいくものではない。こういう時思い出すのは万事屋のチャイナちゃんのこと。あの民族特有の治癒力は羨ましくて仕方ない。
本日何度目かも分からない溜息を吐いた。
『…あー、暇だぁ』
「暇だというお言葉、本日99回目でざりまするよ、姫」
どこか懐かしい声が響く。窓に視線を向け『蓮?』と呼べば声の主は開いた窓から赤髪を揺らして私の目の前に現れた。
あの頃より背も髪も伸びていた。けど顔付きは多少面影を残していた。
『ちょ!今までどこにいたの!』
「すまぬ、あの時姫を守れなかったのが悔しゅうてそれで修行しに行ってたでし」
マフラーで半分隠れた顔から分かるくらいの申し訳なさが滲み出ていて、咎めるのは違う気がしてそれ以上は言うのをやめた。
その代わりにと、ふと芽生えた疑問を口にする。
『…ねぇあんた幾つだっけ?』
「27でござりますが…」
『ふーん、27…はぁ‼?嘘でしょ‼私もっと下だと思ってたんだけど!!』
「実は姫と十違うんでござりますよ〜吃驚〜」
『本当にアラサー?凄く馬鹿そうに見えるんだけど?てか馬鹿だよね?』
「え、辛辣」
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追加登場人物
忍び。
Aが物心ついた時から遣えている。
髪は赤く長い為高い位置で一つに結ってある。
真っ黒な忍び服を着用。
Aに貰った黒のマフラーを巻いて口元を隠している。
口調が少し変。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年9月30日 9時