九十八 ページ48
そして運命の日が来る。
私の5つの誕生日であったその日。
妾である私の誕生日を祝ってくれる人なんているわけなく今日も変わらずだった。だが蓮が誕生日は外で過ごそうと言いこの部屋を抜け出すこととなった。
難しいと思っていたが夕飯が下げられた後に実行したそれは簡単にうまくいき私達は久しぶりに外へ出た。
暑かった季節は遠に過ぎ、過ごしやすい季節へと変わっていて寧ろ少し肌寒かった。河原へ行けば二人で竹刀を交えた。楽しくてお互いに時間を忘れてしまい、そろそろ帰ろうかと暗い道の中手を繋いで歩いた。屋敷に近づいていくと何故かそちらが明るいことに気づく。
やっと視界に捉えた時そこは火の海と化していた。
何が何だかわからず私は屋敷に飛び込んでしまった。あんな扱いを受けていても家族には変わらない、助けなきゃと思っていた。けれど足元に伏せる人たちは皆意識がなく、火の手が上がってからだいぶ経ってることがわかった。
広間に着くとそこには兄と父母がいた、けれど父母は伏せたまま微動だにしない。そこへ蓮がかけてきて私達の存在を見つけた兄は見たこともない顔でこう言った。
「お前が…お前が殺したんだ!!」
私と兄を隔てるように火を纏った柱が倒れてきた。蓮に抱えられ外へ出れば屋敷はもう全壊に近かった。その屋敷を横目に蓮は私を抱えて走っていた。
やっとあの暗い世界から解放される、と蓮に抱えられながらホッとしたのを覚えている。
私達はその後どう歩いたのかわからない。ただ何も考えず、歩きながらたまに声を掛けてくる野党や人攫い達を斬って食べ物があればそれを食し、また歩きの繰り返し。
気づけば相模国なんて出ていたようで、どこか別の地へと迷い込んでいたらしい。
その頃の私達はもう限界で歩けなくなっていた。二人寄り添い、目を瞑ればもう死んでもいいか、なんて思えてきた。けれどそこに
「オイ!おめーら!!どうした!?」
あの人が現れたんだ。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年9月30日 9時