九十三 ページ43
あれから数日が経った。
十四郎ちゃんの手で粛清された鴨さんのお葬式を隊内でひっそりと行えば、とっつぁんとこの犬の葬儀は盛大にやりそのついでにザキちゃんの葬儀もやっていたり。まぁ彼は生きてたんでその後ボコボコにされたのは言うまでもないが。
そして昨日、私は近藤さんと二人連の葬儀を行なった。目の前にあるそれには長い赤髪も真っ黒な忍び服も、私のあげたあのマフラーも何一つ残っていなかった。
骨壷の横に花を生けた花瓶を置けば手を合わせて目を瞑った。
『蓮、貴方には沢山助けられました。これからは私が貴方の守った私自身を守ります。だから』
空から見守ってて下さい。
ふわりと、風が私の髪を揺らした。後ろを向けば襖に寄りかかった蓮が見えた気がした。それに私は安心していれば、その開いた場所からザキちゃんが顔を覗かせる。
「Aちゃん、いいかな?」
『もうみんな揃ったの?』
「まぁ」
ザキちゃんに一つ頷けば彼の後ろから隊服から着流しや袴に着替えた三人が現れる。私の前に左からザキちゃん、十四郎ちゃん、近藤さんと座り、私の隣には総悟くんが座った。
「Aそんな急がなくても俺たちはよかったんだが…」
「近藤さんの言う通りでィ、無理する必要はねェ」
『いえ…今話すべきかと』
先日私の取っ捕まえた攘夷浪士から出てきた兄の名前。その兄の名前が出てきた数日後、あの列車に兄が現れた。偶然にしては出来すぎている。
ということは答えは一つ。
あの日私が襲われたこと、兄が列車に現れたことは関係があるとしか言いようがない。
それを皆は察しているが蓮のこともあり触れずにいてくれたのだがいつまでも引き伸ばしたくなく昨日の夜に呼び出しておいた。
『きっと兄はまた現れます、そしてその答えは私の過去にあるものと思われます』
「…A、聞かせてくれ。お前の過去とやらを」
近藤さんの言葉に頷き、私は口を開いた。
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年9月30日 9時