額に傷を持つ2人～謎のプリンス～起③～ハリー･ポッター (ページ37)

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その視線に感じ取ったトンクスが、私がいるらしきところを見つめて、ゆっくりと頷いた。

ト｢誰かが君達を向かいに来てくれる、ほら｣

城の下のほうで、ランタンの灯りが上下に揺れていた。それに堪らなく心が踊る。

この際、フィルチだって構うもんかと思う程だ。

ゼイゼイ声で遅刻を責めようが、親指締めの拷問を定期的に受けさせれば時間を守れるようになるだろうと喚こうが、我慢できるほどに。

黄色の灯りが十フィート先に近づいて来たので、姿を現わすために透明マントを脱いだとき、初めて相手が誰なのかに気づいた。

それにこの上なく気まずくなる。

最後に彼と会ったのは、彼の家を覗き見て聞き耳を立てた時だ。

灯りに照らし出された鉤鼻に黒い長髪のセブルス・スネイプ。死喰い人の仕事で度々あった顔は、少し懐かしさと共に嫌な思い出を含んでいた。

「さて、さて、さて」と言って意地悪く笑いながら、スネイプは杖を取り出して閂を一度叩く。

鎖がクネクネと反り返り、門が軋みながら開いた。

ス｢ポッター、ブラック、出頭するとは感心だ。ただし、制服のローブを着ると、せっかくの容姿を損なうと考えたようだな｣

スネイプは、ハリーをじっと見つめながら、意地悪く笑みを浮かべる。全く変わらない行動に呆れて、小さく笑いを押し殺す。

「着替えられなかったんです。手元に持ってなくて」と、ハリーは話し始めたが、スネイプが遮った。

ト｢ニンファドーラ、待つ必要はない。ブラックとポッターは私の手中で、極めて、あー……安全だ｣

「私は、ハグリッドに伝言を送ったつもりだった」と言ったトンクスが、顔を顰める。

「ハグリッドは、新学年の宴会に遅刻している。このブラックとポッターと同じようにな。かわりに私が受け取った。ところで」と、スネイプは一歩下がって私とハリーを中に入れながら言う。

ス「君の新しい守護霊は興味深い」

それに私はまた鼓動が早くなった気がした。心地のいい冷気が、じわりと肌に突き刺す感じさヘする。

スネイプはトンクスの鼻先で、大きな音を立てて扉を閉めた。

スネイプが再び杖で鎖を叩くと、鎖はガチャガチャ音を立てながら滑るように元に戻る。

「私は、昔のやつのほうがいいように思うが」と言ったスネイプの声には、紛れもなく悪意がこもっていた。

ス｢新しいやつは、弱々しく見える｣

スネイブが、灯りの向きを変えたそのとき、ちらりと見えたトンクスの顔に、怒りと衝撃の色が浮かんでいた。