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ダ｢クリーチャーは、君の所有物になることに"多少"抵抗を見せておる｣
『"かなり"の間違いじゃないですか？』
軽口を叩く私にダンブルドアは、朗らかな笑みを浮かべたが、隣にいるハリーは違うようでクリーチャーに向けて、明らかな嫌悪感を示していた。
その嫌悪感は、いつの日か鏡の中の自分が野次を飛ばしてきたものによく似ているように見えた。
ハリーの心の声は、憎悪とも言えるようなもので、一瞬でもいいから耳を塞ぎたくなる。
ク｢しない、しない、しない、しない────｣
ダ｢命令してみるのじゃ、A。正当に君の所有に移っているなら、クリーチャーは君に従わねばならぬ。さもなくば、この者を正当な女主人から遠ざけておくよう、他の何らかの策を講じねばなるまい｣
ク｢しない、しない、しない、しないぞ！｣
クリーチャーの嗄れた声が、高くなって叫び声になっていく。
『クリーチャー、静かにしなさい』
ただ淡々と作業こなす無機質な声ではあったが、クリーチャーの大きな耳にその声が届いたようだ。
一瞬、クリーチャーは窒息するかのように見えた。喉を押さえて、死に物狂いで口をパクパクさせ、両眼が飛び出しそうになっている。
数秒間必死で息を呑み込んでいるが、やがてクリーチャーはうつ伏せに、カーペットに身体を投げ出し、両手両足で床を叩いて、激しく、しかし、完全に無言で癇癪を爆発させていた。
「さて、これで事は簡単じゃ」と、ダンブルドアは嬉しそうに言ったが、それに対して私の心は段々と曇っていた。
それを感じとったトムは、またグルグルと居心地が悪いと訴えていた。
ダ｢シリウスは、やるべきことをやったようじゃのう。君は、グリモールド・プレイス十二番地と、そしてクリーチャーの正当な所有者じゃ｣
クリーチャーは、私の足元でもがき苦しむ。
『クリーチャーをまたブラック邸に居させることが出来ますか？そうすれば、クリーチャーもマシでしょう』
その言葉に、クリーチャーは、瞬間的に藻掻くのをやめて私を痛いほど大きな目で見る。
その大きな血走った目を見ない訳にもいかず、というより大きすぎて目に入ってくるのだけれど、クリーチャーをまた見つめる。
その目の奥は、私の真意を確かめようとしているのだとクリーチャーの心の声が聞こえた。
ダ｢それは、難しいのう。私の意見を言わせてもらえれば、ホグワーツに送って厨房で働かせてはどうかな。そうすれば、他のしもべ妖精が見張ってくれよう｣
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作者名：おにぎり食べたい | 作成日時：2021年3月22日 20時
