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私は顔を顰めていた。いや、勿論、私もその話はヴォルデモートからされていた。
ヴォルデモートは、異常な程に私に執着していると思う。それが何なのかは、分からないが、ヴォルデモートがその件を話した時、酷く心を荒らさせた。
そして私もその件において賛同をするしかなかった。結果、悪い方向に進んでしまったのだが。
「あなたは、きっと知っていると思っていましたわ！」と言ったナルシッサの息遣いが、少し楽になったように聞こえる。
灰汁を掻き回したような夕立色の曇天が顔に降り注ぐ。
ナ｢あの方は、セブルスのことをとてもご信頼して────｣
「お前が、計画を知っている？」と言ったベラトリックスは、一瞬浮かべた満足げな表情を、怒りへと変える。
ス｢いかにも、しかし、ナルシッサ、私にどう助けて欲しいのかな？
闇の帝王のお気持ちが変わるよう、私が説得できると思っているなら、気の毒だが望みはない。まったくない｣
「セブルス」と、ナルシッサが囁くように言う。青白い頬を涙が滑り落ちる。
ナ｢私の息子……たった1人の私の息子｣
「ドラコのことは、誇りに思うべきだ」と、ベラトリックスが冷淡に言い放つ。
ベラ｢闇の帝王は、あの子に大きな名誉をお与えになった。それに、ドラコのためにはっきり言っておきたいが、あの子は任務に尻込みしてはいない。自分の力を証明するチャンスを喜び、期待に心を躍らせて｣
いいや、違う。彼はとても心の中で怯えていた。それを私は知っている。確かに聞こえたのだから。
ナ｢それは、あの子が16歳で、何が待ち受けているのかを知らないからだわ！セブルス、どうしてなの？ どうして、私の息子が？これは、ルシウスが間違いを犯したことへの報復なんだわ！｣
中の様子を覗き、トムは私の腕の中でグルグルととぐろを巻く。
スネイプは、固く口を閉ざしたまま開こうともしない。
スネイプは、涙が見苦しいものであるかのように、ナルシッサの泣き顔から目を背けていた。しかし、聞こえない振りはできないだろう。
「だから、あの方はドラコを選んだのよ。そうでしょう？」と言ったナルシッサが、詰め寄る。
ナ｢ルシウスを罰するためでしょう？｣
ナルシッサから目を背けたまま、「ドラコが成功すれば」と、スネイプが声を絞り出す。
ス「他の誰よりも、高い栄誉を得るだろう」
ナ｢あの子は成功しないわ！
あの子は……あの子は
優しすぎるもの
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作者名：おにぎり食べたい | 作成日時：2021年3月22日 20時
